3/26週号 円高助長は「永田町」か、「本石町」か
3/26週号 円高助長は「永田町」か、「本石町」か
ドル円予想レンジ103.80-106.50
「岸破聖太郎」-。これは1/22週号のタイトルでも引用したポスト安倍首相の候補者造語だ。永田町で囁かれる、9月自民党総裁選に向けた各候補者(岸田文雄氏、石破茂氏、野田聖子氏、河野太郎氏&小泉進次郎氏)の一字を抽出した合成名である。
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する問題が長期化の兆しを見せ始め、再浮上し始めた格好だ。これら各候補者の中では、“岸”で名を連ねる岸田文雄自民党政調会長が3/16の講演で、「(日銀金融緩和は)何時までも続けることは難しい。出口時期を考えることが大事だ」と、安倍首相との違いを鮮明に示している。
「永田町(政府・自由民主党本部)」と「本石町(日銀本店)」
同日、政府は3月の月例経済報告を公表。消費者物価の判断について、1年10ヶ月ぶりに「緩やかに上昇している」との表現に改めた。
確かに総務省が3/23に発表した2月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は14カ月連続で上昇。政府の月例経済報告を裏付けた格好だ。しかし、日銀の黒田東彦総裁が掲げる2%の物価安定目標達成にはまだまだ時間が懸かる、と総裁自身も認めており、月例経済報告や消費者物価を以て日銀政策の正常化、と推考するには気が早すぎるだろう。しかし、こうしたなか3月期末特有の円転圧力が強まる3月最終週で筆者が警戒するのは2点である。
一つはポスト安倍首相、とした政局報が扇情的に取り上げられることにより、1年前に囁かれた「アベグジット(Abexit)」が警戒される点だ。各候補者の経済政策との差異から、円買戻し圧力を強める可能性がある。
二つ目は、理事として黒田総裁を支えてきた雨宮正佳氏の発言が円急騰場面を引き起こした点だ。3/20に副総裁に就任した際の記者会見で、「(物価目標2%達成前の長短金利目標引き上げの可能性について)調整の可能性は排除していない」と発言している。無論、「時期尚早」とも述べているが、本年において2回の日銀オペ減額をしたことが金融緩和正常化に向けたシグナル、と市場に曲解されて円買いを強めた場面があった。市場反応を知らない訳が無い。
そうなると、試打的な確信犯なのか、就任前とは微妙な食い違いも感じさせてしまう。「永田町」と「本石町」、それぞれの“町内”で政策整合の再確認と今後が求められる場面となりそうだ。
3/26週のドル円
3月決算期末の円転圧力を念頭に上値焦点は日足一目均衡表転換・基準線指針の106円前半、3/22高値106.10、3/21高値106.65、3/14高値106.76。越えれば3/13高値107.30、2/28高値107.53。下値焦点は2016/11/9にトランプ大統領誕生決定の際の上昇、横ばい小康水準を意識し104.50、30、103.80-70、103.00圏等を推考。
武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト
Source: 株式投資