岡三証券でIPO投資をするには 中小型株の分析に定評
岡三証券でIPO投資をするには 中小型株の分析に定評
IPO投資といえば上場時の高い値上がり期待から人気の投資方法だ。中小型株の分析において証券業界内でも定評のある岡三証券でのIPO投資について検討してみよう。実績や魅力は? 始めるにはどうすればいいのだろうか。
岡三証券とは
岡三証券とは岡三証券グループの中核を成す準大手証券会社だ。岡三証券グループには岡三証券をはじめ投資信託業務を行なう岡三アセットマネジメントや岡三オンライン証券等がある。大手証券会社や銀行の傘下には入らず独立系の証券会社として事業を行なっており、関東、関西、中部を中心に全国に62店舗を展開している。
岡三証券の特徴は対面営業を中心とした証券会社であるという点だ。ネットトレードが人気の昨今でも同社の基本的な営業スタイルは対面営業が中心だ。オンライントレードももちろんサービスを提供しているが、グループの別会社である岡三オンライン証券がオンライン専業の証券会社として事業をおこなっている。
岡三証券では中小型株の分析において証券業界内でも定評がある。大手証券会社や証券アナリストが調査の対象にしていない中小型株であっても同社では調査がしっかりとなされており、中小型株に強い証券会社として有名である。
IPO取り扱い実績
岡三証券のIPO株の取り扱い実績について、2017年は35社であった。そのうちIPO株の配分が多い主幹事を務めた銘柄が4銘柄となっている。2016年もIPO取り扱い実績29社と多くの銘柄を扱っている。
2017年の岡三証券のIPO取扱い銘柄を個別に見ていこう。同社が取り扱ったIPO株のうち、主幹事を務めたものは以下の通りだ。
・フュージョン
札幌市に本社を構えるダイレクトマーケティング専業の企業だ。2017年2月23日に札幌証券取引所の新興市場である札幌アンビシャスに上場を果たした。
・エコモット
札幌地盤の企業であり、IoTインテグレーションを展開する企業だ。2017年6月21日に札幌証券取引所の新興市場である札幌アンビシャスへ上場を果たした。
・トレードワークス
金融関連会社のシステム開発・保守・運用などを手掛けている。2017年11月29日に東証JASDAQスタンダードへ上場を果たした。
・ミダック
東海地区が地盤の産業廃棄物の処理・管理業者である。名証第2部に2017年12月22日に上場を果たした。
主幹事を務めた銘柄を見てみると、札幌証券取引所の新興市場である札幌アンビシャスへの上場が2社、名古屋証券取引所の第2部への上場が1社、東証JASDAQスタンダードが1社と中小型株の中でも地方証券取引所の2部や新興市場等への上場が目立つ。
普段から中小型株に強いと言われている岡三証券であるが、IPOの主幹事についても中小型株の取り扱いに強みを持つ。特に中小型株のIPO場合、株式の発行枚数が少ないことが多く、需給面で需要が大幅に上回り人気化することが多々ある。しかし発行株式数が少ないためIPO株の配分は各証券会社とも非常に少なくなる傾向がある。
ただし主幹事を務める証券会社にはIPO株の大部分が配分されることが多いことから、中小型株でなかなか当選しにくいIPOに関しても同社が主幹事を務める案件であれば当選確率は他社で抽選に申し込むよりも大幅に上昇すると言えよう。
もちろんIPOで主幹事を務めた4社以外にも2017年はほぼ日刊イトイ新聞を提供するほぼ日 や博多ラーメン店「一風堂」を展開する力の源ホールディングス など31社の引受幹事や委託幹事を務めIPOの取り扱いをおこなった。
2つの区分でIPO抽選
岡三証券でのIPO抽選は抽選方法が2つに区分されている。1つ目は一定抽選による配分だ。岡三証券に割り当てられたIPO株のうち、10%の数量に関しては完全平等に抽選をする。この抽選での当選数量は1人あたり1単位の割り当てとなる。抽選時には顧客に乱数を付し機械的に抽選する為、大口の顧客であっても普段取引の無い顧客であっても当選確率は同じである。ただし同社に割り当てられるIPOの株数によっては一定抽選による配分は行われない事もあるので注意して頂きたい。
1区分目の全顧客平等の抽選にはずれてしまった場合は2区分目のステージ制抽選が行われる。このステージ制抽選とは、手数料を多く支払っている同社の得意客に対してはIPO抽選の当選確率が上昇するという優遇がなされる制度だ。ステージ抽選ではステージT、ステージ1、ステージ2、ステージ3の合計4つにステージが別れており、それぞれのステージによって当選確率が変わるのだ。
具体的な当選確率は銘柄ごとに変動するということで公開されていないが、当選確率は以下の通りステージTが最も低く、ステージ3が最も高くなっている。
抽選における優遇度は
ステージ3>ステージ2>ステージ1>ステージT
それぞれのステージの条件は以下の表の通りだ。
ステージの条件(法人口座を除く)
ステージ3……3カ月の合計手数料100万円以上
ステージ2……3カ月の合計手数料50万円以上100万円未満
ステージ1……3カ月の合計手数料50万円未満
ステージT……通信取引口座、インターネットでのIPO申込み
新規に口座を開設した場合はステージ1からのスタートになるが、通信取引口座の方やインターネット経由でのIPO抽選の申し込みの場合はステージTの扱いとなる。岡三証券ではIPO株の全量を抽選としているが、ステージ制の導入で結果的に対面取引での優良顧客が優先的にIPO株の配分を受けやすい仕組みとなっている。
IPO株の手数料は?
IPO抽選に運良く当選することができた場合は購入・売却について考える必要がある。岡三証券でのIPO株の売買手数料について紹介しよう。基本的にIPO抽選に当選し、公募価格で購入する場合は購入手数料が無料となっている。売却時のみ各証券会社の定める売買手数料を支払う必要がある。
岡三証券の売買手数料は以下の通り(パーセンテージは約定代金にかかる割合)だ。
約定代金……支店口座/通信取引口座/オンライントレード
100万円以下……1.242%/0.8694%/0.621%
100万円超300万円以下……0.9180%+3,240円/0.6426%+2,268円/0.4590%+1,620円
300万円超500万円以下……0.8100%+6,480円/0.5670%+4,536円/0.4050%+3,240円
500万円超700万円以下……0.7560%+9,180円/0.5292%+6,426円/0.3780%+4,590円
700万円超1000万円以下……0.7020%+1万2,960円/0.4914%+9,072円/0.3510%+6,480円
1000万円超3000万円以下……/0.5400%+2万9,160円/0.3780%+2万412円/0.2700%+1万4,580円
3000万円超5000万円以下……0.2160%+12万6,360円/0.1512%+8万8,452円/0.1080%+6万3,180円
5000万円超……0.1080%+18万360円/0.0756%+12万6,252円/0.0540%+9万180円
なお手数料上限がそれぞれ27万円、下限が支店口座2,700円、通信取引口座2,160円、オンライントレード1,944円となっている。
岡三証券でのIPO投資の魅力
岡三証券でのIPOの魅力はなんといっても中小型株に強いという点だ。中小型株の場合は新規上場時の株数が少ない場合が多く、人気化し高値が付く可能性もある。特に同社の場合は2017年の主幹事の実績においても、札幌アンビシャスや名証2部への上場などがあり、小型の銘柄であるために初値が大幅に上昇することも珍しくない。そんなお宝IPO株である中小型株の主幹事を同社が務めることも多くあり、主幹事ならではの配分株数の多さにも期待が持てる。
もちろん主幹事だけでなく引受幹事や委託幹事も多く務める為、年間を通して多くの件数のIPO抽選に申し込むことが可能だ。
公平な抽選を心掛けている点も同社の魅力だ。IPO株の10%は完全抽選であり、残りの90%も優良顧客優先ではあるが、ルールに則った抽選が行われている。その為誰しもがIPO抽選で当選する可能性がある。
対面取引が主体であるという点も同社の魅力の一つだ。IPO株の人気が高いからといって全ての銘柄の初値が上昇するわけではない。中には公募割れとなったIPO株も存在する。そのようなIPO株について抽選や購入を迷った場合には、支店の担当営業員に相談をして様々な情報を得ることも可能だ。
様々なキャンペーンを実施中
現在、岡三証券では2つのキャンペーンを実施中だ。
・3月の個人向け国債キャンペーン
2018年3月5日から2018年3月30日までの間に新規資金により個人向け国債(変動10年、固定5年)を額面100万円以上購入した方に現金がプレゼントされるキャンペーンだ。金額は100万円で2,500円、以降100万円毎に2,500円が受け取れる。個人向け国債(変動10年)の場合は1,000万円で3万5,000円、以降100万円毎に3,500円が受け取れる。
・NISA口座&ジュニアNISA口座 上場株式等ご購入手数料キャッシュバックキャンペーン
2018年1月4日から2018年6月29日までの期間中にNISA口座およびジュニアNISA口座で国内上場の国内株式等(ETFやREITを含む)を購入した方に購入手数料がキャッシュバックされ、実質手数料0円で購入が可能なキャンペーンだ。
口座を開設するには
岡三証券でIPO投資をするためにはまず口座開設が必要だ。同社の口座は支店の営業員が担当として付く対面取引が主体の支店口座とカスタマーセンターへの発注が主の通信取引口座の2種類がある。
支店口座を開設する場合は自宅近くの支店で手続きをする必要がある。その際は印鑑、本人確認書類、通帳又はカードが必要となる。もし近くに支店が無い場合はカスタマーセンターでの対応となり、その際は支店口座ではなく通信取引口座の開設となる。
通信取引口座の開設方法は電話又は同社のWebサイト上から口座開設用紙を取り寄せ、記入したうえで返送する必要がある。書類提出後は普通のネット証券とは違い岡三証券から電話連絡があり、10分程度の説明がある。その後に開設となるが、約3週間程度開設までに時間がかかる為、IPOへの申し込みの際には間に合わない可能性もある。狙ったIPOに間に合わせるためには、なるべく早めに口座開設をしておくことをおすすめする。 (右田創一朗、元証券マンのフリーライター)
Source: 株式投資