超富裕層の「財産のふやし方」6割を占める資産とは?

超富裕層の「財産のふやし方」6割を占める資産とは?

富裕層はどのように資産を投資・管理しているのだろうか—。富裕層と言っても所有している資産額には大きな差があるように、住宅・高級車・ビジネス・年金・生命保険・不動産・流動資産など、投資対象や配分にも大きな差があるようだ。

米連邦準備制度(FRS)が2016年に実施した消費者金融調査を基に、富裕層の資産と投資傾向を1万〜10億ドルの資産別にみてみると、富裕層が複数の商品に投資することで資産を増やしていることがよく分かる。ここから真似出来る「財産をふやす秘訣」を学んでみよう。

資産1万〜10万ドルの層は自宅を購入、1000万ドル以上の層はビジネスへの投資重視

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(画像=Peyker/Shutterstock.com)

この調査は連邦準備制度のデータから、市場情報サイト「visualcapitalist.com」が作成したもの(2018年1月19日付記事 )。

「資産1万ドル 以上?と10万ドル以下」層の主要な投資対象は自宅で、資産の4割を投じている。住宅に次ぐ資産として、1万ドルの層は高級車、年金、流動資産への投資に重点を置きいており、10万ドルの層は年金。高級車と流動資産は同じくらいの比重を置き、ビジネスや不動産への投資も活発におこなっているだ。

100万ドルの層は住宅と年金が最大の投資で、僅差でビジネス 。不動産や投資信託が占める割合はそれより少し低い。

1000万ドルの層になると様子ががらりと変わる。4割をビジネスに投じ、次点は投資信託ミューチュアルファンド。不動産と株がそれに続く。

1億ドルの層は5割がビジネスで、残りは投資信託と株。10億ドルの層は6割がビジネス、株、投資信託という割合だ。

資産額が大きくなればなるほどビジネスへの投資が増え、資産が少ない富裕層ほど住宅への投資に比重を置いていることになる。

5万ドルの投資が100万ドルに増える?ビジネス投資の魅力

ビジネスへの投資は資産を増やす最も有効な手段のひとつだ。Amazonのジェフ・ベゾスCEOや「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏など、自ら事業を立ち上げ財を築いた富裕層も多い。これらの富裕層はひとつのビジネスの成功で満足せず、その後も次々と買収や投資を繰り返すことで、着実に資産を増やしている。

トロントを拠点とする金融・ビジネスライターのブライアン・ボージースキー氏 は、「起業は投資対象に相応しくないと思う人は、超富裕層にはなれないだろう」と語っている。(BBC2014年5月1日付記事) 。近年スタートアップへの投資が活発している背景にも、富裕層によるビジネスへの投資熱がある。

しかしビジネスに投資するだけで資産が増やせるという保証はどこにもない。米エンジェル投資家のデヴィッド・ローズ氏は「スタートアップの5割が破たんする運命にある」と指摘している。その一方で「投資したスタートアップが1〜2社成功するだけで、資本が20〜50倍になって返ってくる」と言う。ローズ氏自身は1社につき5万〜10万を投資しているが、それが100万ドルに膨れ上がって返って来た経験もあるそうだ。

所有している資産が増えるほど、ビジネスへの投資が熱心になる—という心理も納得出来る。

ファンドを活用すれば富裕層でなくてもアートや高級車、不動産に投資出来る

高級車やアート、腕時計、ワインといった「Passion Investment(情熱による投資)」も富裕層間で人気が高い。これは純粋に資産を増やすというよりも、趣味で始めたコレクションに資産価値が付いているとみなす方が正しそうだ。

実はこれらの商品の投資は富裕層でなくても比較的気軽に始められる。実物には手が出ない価格でも、ファンドを通して投資するという手段がある。1万ポンドから 投資出来る「Wine Investment Fund(ワイン投資信託)や、コンテンポラリー・アートでポートフォリオを構成した「Art Investment Fund(アート投資信託)がその例だ。

英投資企業stonehage investment partnersのエクゼクティブ・ディレクター兼事業開発部責任者ガイ・ハドソン氏いわく、「新進気鋭のアーティストへに投資しておけば、損することはない」とのことだ。

主要住居を含む不動産への投資も、富裕層の定番だ。他の富裕層と共同で商業用不動産を購入する、あるいはロンドンやニューヨークといった国際的大都市に不動産を購入するなど様々だ。カナダのRBC RBC Wealth Managementのポール・パターソン副会長は、「一般的に富裕層は2〜3カ所に不動産を所有している」と言う。

そこまで大規模な投資は無理でも、手頃な物件を1軒手に入れて賃貸や転売で利益を上げる、あるいは「REIT(不動産投資信託)」で投資するという手段がある(BBC2014年5月1日付記事)。

確固たる投資戦略と長期的計画があれば、リスクも軽減される?

一般人は確実なリターンが狙いやすい成熟市場への投資に傾きがちだが、超富裕層は新興市場への投資にも積極的だ。Investopedia2017 年12月27日の記事によると、特にインドネシア、チリ、シンガポールが人気の投資先だ。

これらの層は公開株よりも、高リターンが期待出来る未公開株やプライベート・エクイティ・ファンドを重視すると言う。

また何かに投資してから周囲の投資戦略を気にしている小規模な投資家とは違い、まず自分の投資目標と長期的な投資戦略を決めてから投資を行う。確固たる投資戦略と長期的計画があれば、リスクも軽減されるということだろうか。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)


Source: 株式投資
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