4/2週号 円安抑制を迫る「トランプ閻魔帳(貿易課税・為替報告書)」
4/2週号 円安抑制を迫る「トランプ閻魔帳(貿易課税・為替報告書)」
ドル円予想レンジ105.00-107.50
「(証言について)政府としてはコメントを控えたいというふうに思います」-。これは3/27の菅官房長官発言だ。
同日、佐川前国税庁長官は学校法人「森友学園」への国有地売却に関する問題で衆参両院の証人喚問に臨んだが、刑事訴追の恐れから証言拒否が相次いだ。しかし、首相官邸や政治家の関与に関しては明確に否定。これについて感想を求められた菅官房長官は「ん、うん。なかったからじゃないですか」、と語っている。
円が怯えるべきはトランプ閻魔帳
証人喚問終了を以て幕引き、安倍政権の求心力も完全回復、と読み込みたいが、永田町関係者からは「決め手に欠けた」との見方もあり、政局の不透明性は継続だ。別途、4月相場で筆者が本当に怯えるべき、と警戒しているのは“国内”ではなく、米政治が引き起こす“国外“経由での3点の円高(ドル安)リスクである。
即ち①4/6迄には米通商代表部(USTR)による500億ドル相当の対中国製品への関税賦課品目対象が纏められること、②鉄鋼・アルミニウムの輸入制限では日本も追加関税の対象に巻き込まれていること、③米財務省による為替報告書(4月・10月の年2回)の発表、である。
①②に関しては、本格的な貿易戦争は双方にとって経済的な損失が大きいとして外交駆け引きと体面が主体と見ているが、米国のサウジアラビア接近(米債購入依頼)や、中国の関税報復規模等、円買い圧力を恣意的に増幅させる材料は枚挙に暇がない。
③において、日本を為替操作国に認定するためには3つの基準、A:貿易収支の規模(年間の対米貿易黒字額が200億ドル超)、B:経常収支の規模(経常収支の黒字が対GDP比で3%超)、C:為替介入有無(継続的な為替介入による一方的な外貨の買い入れがGDPの2%以上など)が必要だが、ABには抵触するがCが該当していない点がポイントか。
つまりトランプ大統領の閻魔帳ではCの部分だけを切り出し、日米同盟・安全保障を担保する一方で、貿易・通商面で訪米前の安倍首相に譲歩を迫る可能性もあるのではないか。11月の米中間選挙を控え、農業従事者から圧倒的支持を得ているトランプ大統領が日本に輸入枠拡大を迫るか、若しくは円安抑制(ドル安甘受)を示すか。トランプ大統領による一挙両得の行動が4月は強まる、と推考している。
4/2週のドル円
上値焦点は3/28-29高値圏107.00、3/13高値107.30、2/28高値107.53、2/27高値107.69。本年初の日足ボリンジャー中心越えも+2σ、日足雲下限が107円前半から抵抗。下値焦点は3/17-18安値圏105.32-35、3/23-26安値圏104.63、節目104.50。4月のドル円月足は2013年の日銀「量的・質的金融緩和」の導入時以降、全て陰線であり、アノマリー観点で月始値を留意。
武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト
Source: 株式投資