初めての不動産投資、失敗しない物件探しのポイント 情報源はどこ? どんな流れで?

初めての不動産投資、失敗しない物件探しのポイント 情報源はどこ? どんな流れで?

どの物件に不動産投資を行うか。まさにこのことが不動産投資を成功させるか失敗させるかの最大のカギとなる。どうすれば有望な物件を賢く見つけ出すことができるのか。そのコツや秘訣を探る。

不動産投資物件の探し方の流れは?

不動産投資,物件選び
(画像=PIXTA)

不動産投資物件としていくつか候補を挙げて検討する場合、まず候補物件を探すことが第一歩だ。情報サイトから検索したり、競売物件を掲載しているWebサイトから探したり、地元のタウン情報誌の不動産広告を見てみたりと、いくつかの方法がある。

そしてさまざまな物件情報を目にすることになり、販売価格や利回り、立地や周辺環境、築年数などのほか、将来的な周辺環境の変化も考慮して総合的にその物件が不動産投資に向いているのかを判断することになる。

この記事では不動産物件情報の探し方や不動産物件の評価の方法のほか、利回りがどのように計算されているのかも紹介する。

情報サイトは「楽待」「健美家」「ライフルホームズ」など大手

不動産投資サイト「楽待」(らくまち)は、不動産投資物件向けの物件などの掲載数が7万件ほどに上る。トップページに掲載されている「注目の収益物件」カテゴリでは、物件価格と利回りがひと目で分かるように工夫されており、想定年間収入や利回りも物件ごとの詳細ページに掲載されている。住所や沿線から不動産投資物件を検索できるほか、利回りも「8%以上」から2%刻みで「16%以上」まで選択して探すことが可能だ。

「健美家」(けんびや)は年間アクセス50万人をうたった不動産投資物件の情報検索サイトで、4万物件から5万物件ほどを常時掲載している。利回りが良い物件や非公開物件を会員限定で公開しており、頻繁に同サイトを見に訪れる不動産投資家も多い。不動産投資やアパート経営を行う人が書いたブログ記事も既に2000投稿を超えており、不動産投資の成功例や失敗例、トラブルなどについてのリアルな話を知ることができる。

ホームズからブランド名を変更して運営されている「LIFULL HOME’S」(ライフルホームズ)も、不動産投資物件の検索サイトとして利用者が多い。マンションタイプに合わせた検索などはもちろんできるほか、不動産投資物件の売却価格の査定を無料で依頼することができるのも便利な点と言える。不動産投資セミナーなども主催しており、海外不動産投資に関しても情報発信している。

競売の基礎情報は「BIT」、評価や利回り情報は「981.jp」で

競売物件を検索するためにはまず、不動産競売物件情報サイト「BIT」を開く。都道府県別や地域別・沿線別に競売物件を検索できるほか、裁判所や事件番号から該当する競売物件を検索することもできる。各裁判所からの競売物件に関する基礎情報や売却スケジュールに関するお知らせもまとめて掲載している。閲覧可能な競売物件の数は時期によって異なるが、1500件から2500件ほどが常時閲覧可能となっている。

競売物件の直近の競売結果についても検索が可能だ。対象エリアと裁判所、対象期間を選ぶと、競売に掛けられていた物件や土地などの競売結果を確認することができる。検索結果ページでは各競売物件が売却されたかどうかや売却基準価額(最低売却価格)、売却額などを閲覧できる。さらに古く過去3年以内に競売が行われた物件については、構造や間取り、築年数などの詳細な情報も調べられる。

しかしBITだけでは、なかなか不動産投資に適した物件を見つけるのが難しい。物件に関する情報は基本的なものに限られていることから、不動産投資に適しているかの判断が難しいためだ。そこで便利なサイトとして利用されているのが、不動産競売流通協会(FKR)が運営する「981.jp」だ。各競売物件について5段階ランクで評価しているほか、利回り予想、賃貸需要なども掲載しており、一般的な不動産投資物件検索サイトのように判断材料となる指標がわかりやすく掲載されている。

「掘り出し物件」を見つけるなら地域のタウン情報誌も

インターネットの普及によって不動産投資物件検索サイトは既にかなりの物件を網羅しており、競売物件検索サイトなどを併用して使えば、検討対象となる不動産投資物件の候補を簡単に見つけることができる。一方で不動産投資物件の検索サイトなどは多くの不動産投資家などが常に閲覧しており、全ての人が条件の良い物件を購入できるとは限らない。

そこで軽視してはいけない存在として挙げられるのが、地域のタウン情報紙やタウン情報誌の発行会社が運営しているウェブメディアだ。地方においては現在でもインターネットにあまり縁がない不動産屋もある。そういった不動産屋では日頃から付き合いのあるタウン誌に物件の掲載を一括してお願いしているケースも多い。こうした物件は不動産投資物件の情報サイトには掲載されず、タウン誌だけに載っているということも多い。

タウン情報誌は配布エリアがそれぞれ異なるため、自分が住んでいる地域以外の情報誌はなかなか手に入れにくい。決して不動産投資に適した「掘り出し物」の物件を見つけることができる可能性は低いが、定期的に読んでみると思わぬ好条件の物件に出合えることもある。また、街中の住宅街などを歩いてみるというのもアナログだが掘り出し物に出合えるきっかけになる。

「表面利回り」よりも現実的な「手取り利回り」を重視

不動産投資物件の検索サイトや競売物件検索サイトなどで候補となる不動産物件を探す際、「利回り」が情報として添えられていることが多い。利回りには「表面利回り」と「手取り利回り(実質利回りとも呼ぶ)」の2種類がある。不動産投資物件を探す際に最も重視しなければいけないのは手取り利回りだ。運営コストなどが考慮されており、より現実的な収益を計算することができるからだ。

表面利回りは「年間予定賃料収入」を「物件購入価格」で割った数字で表されるが、手取り手回りを計算する場合は「年間手取り収入」を「総投資額」で割って計算する。両方ともパーセントで表されるが、この2つの利回りの数字は大きく差が出ることも珍しくない。

年間手取り収入を計算する場合には、物件を購入するときに支出した不動産仲介手数料や登記費用、不動産所得税などのほか、運営を続けていく際に必要な管理費や修繕積立金、賃貸管理代行手数料、借入期間や金利も考慮した上でのローンの返済費用なども差し引いて計算される。細かな支出金額まで見落とさずに計算されていくことで、実際のランニングコストを差し引いた手取り額が算出できるわけだ。

「利回り」と書かれていても、表面利回りなどの手取り利回りなのかをきちんと確認しなければ、実際に保有した不動産投資物件からほとんど利益が出ず、逆に赤字に陥ってしまうリストも大きい。

周辺環境の将来的な変化を必ず把握していくこと

利回りを考慮した上でいくつかの不動産投資物件を候補に挙げていくことになるが、当然、立地や周辺環境、間取りなどの情報も判断材料としては非常に大切だ。最寄り駅から徒歩で何分くらい掛かるのかは当然重要であり、現在の周辺環境のほか将来的に周辺環境が変わる可能性があるのかも考慮に入れるべきだ。

例えば、近くにあった大学のキャンパスが移転予定だったり、最寄り駅が改修工事に伴って移転予定だったり、将来的な変化の可能性を常に念頭に置いてリサーチを行うことが肝心だ。周辺環境の変化は将来的な好要素になる可能性もある。大型スーパーや商業施設がオープンしたり、多くの雇用を伴う工場などが新しく建設されたりすれば、物件周辺で住まいを探す人は当然増えてくる。

そういった周辺環境の変化により、住まいを探している人たちの属性も変わってくる。若者が増えるなら1Rマンションや1LDKマンションなどの需要が高まり、ファミリー向けでは1Rマンションや1LDKマンションよりも広めの物件が好まれていく可能性が高い。

「民泊」で不動産投資を成功させることは可能か?

不動産投資の新たな選択肢として、シェアリングエコノミーの代表格とも言える「民泊」で収益を得ていく人も出てきている。1日当たりの売上は賃貸物件として貸し出した場合に比べて大きいが、そもそも民泊ができないエリアや物件があったり、民泊営業を実施できる上限日数なども決められたりしているので、安易に民泊で稼ごうと不動産投資を始めるのはリスクが大きい。

2018年6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)では、民泊新法で民泊ホストの届け出を行って住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を営む場合、年間営業上限日数が180日(泊)と決められている。さらに地方自治体によっては民泊営業が可能な日が土日に限定されていたり、観光客で混雑するシーズン以外でしか行うことができなかったりするケースもある。登下校する児童・生徒たちや渋滞などの発生しないよう配慮することが目的だ。

さらに民泊は、マンションの管理組合で民泊の実施を禁止している場合は民泊を合法的に行うことができない。入居者への騒音問題や迷惑などを理由に民泊を禁止しているマンションも多く、不動産投資物件に候補に挙げた物件の詳細を確認する場合、その点も考慮に入れた方が良い。学校周辺や住居専用地域では民泊を一律禁止している自治体もある。

築年数と耐震基準、「1981年以前」か「1981年以後」に着目

不動産投資物件の候補を探す際に、築年数も重要な判断基準となる。

1981年以前と以後では耐震基準が異なり、地震が発生しても被害が少なく抑えられることなどを考慮すれば1981年以後に建設された不動産物件を選ぶのが得策だ。築年数がかなり経過している物件の場合は銀行などから融資ローンを受けられないこともあるので、築年数は必ず確認しておきたい項目だ。

実際に自分の目で見て候補に挙げた不動産投資物件を評価することも重要だ。また不動産屋に過去に住んでいた入居者の退去理由を聞いておくことも忘れないようにしたい。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト)


Source: 株式投資
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