トランプ大統領が貿易対策を譲歩すればドル円は108円、譲歩しなければ105円へ逆戻り

トランプ大統領が貿易対策を譲歩すればドル円は108円、譲歩しなければ105円へ逆戻り

トランプ大統領が鉄鋼及びアルミニウムに輸入関税を課すと発表して以降、市場のセンチメントは悪化し、再び「株価下落・円高」の流れが始まるかに見えましたが、昨日はライアン下院議長が「鉄鋼、アルミ関税再考を求める」との発言を行い、リスク回避一辺倒であった動きが小休止し、株価上昇に連れるようにドル円は106円台を回復し、NYクローズを迎えました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

ライアン下院議長の発言から、輸入関税に関する反対意見への期待が徐々に強まりそうなため、株価主導でのリスク回避という動きは一旦抑えられそうです。週末に雇用統計などのイベントが控えてはいるもの

の、一旦はドル円の買い戻しが強まるのではないでしょうか。イタリアの総選挙結果は、市場の予想通りハングパーラメントの結果になりました。しかし、得票率はポピュリズム政党の五つ星運動が32%、与党・民主党を中心とする中道左派連合が22%、そして中道右派連合が36%となっており、市場にとっては世論調査結果が示していたほどには悪いものではありませんでした。中道勢力の連立政権は数字的に見て可能性は低く、むしろ急進派との連立の可能性が高そうではありますが、目先のリスクとはならないのではないでしょうか。

昨日まではドル円106円示現でショートポジションの戦略を掲げていましたが、貿易に対する期待感という予想外のポジティブな報道があったため、106円付近から105円台後半での買い戦略へと変更します。

ドル円の押し目買いに方向転換

ポンド下落をメインシナリオに掲げていましたが、メイ英首相が「EU離脱交渉の合意は近い」などと発言したことや、週末のリスク要因(ドイツ・イタリア)が寧ろリスク選好を後押しするような内容になったこともあり、ポンド下落シナリオは一旦取り止めます。ドル円についても、ライアン下院議長の発言がマーケットの転換点になった可能性があるため、106円ショートの戦略をロングへ急遽切り替えます。

昨日の海外市場動向

米・2月ISM非製造業景況指数については、市場予想58.7に対して59.5と強い内容になりました。前月の59.9からは小幅低下したものの、これは前月に急上昇した雇用指数が反落した事が主因であり、特段問題視はされませんでした。

株価についても非常に堅調であり、トランプ大統領がメキシコ、カナダへの鉄鋼関税についてNAFTAでの交渉余地があるとの意向を示したことを受けて、NYダウが大幅反発したことに加え、若田部日銀副総裁候補及び雨宮日銀副総裁候補の所信聴取にて、リフレ派として知られる若田部氏は2%のインフレ目標の実現に向け「必要なら追加緩和を提案する」とのハト派的な姿勢を示したことも好感された可能性がありそうです。

今日の予定

今日の海外時間には、米・1月耐久財受注(確報値)、米・1月製造業受注(前月比)の発表があるほか、ダドリー・米NY連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp


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