クレジットカード申込の審査基準と難易度 重視される「3C」とは?

クレジットカード申込の審査基準と難易度 重視される「3C」とは?

クレジットカードの申し込みをした際、発行会社はそれぞれ独自に申込者に対する評価項目を設け、発行の可否を決定する。一般的にはそれぞれの項目に対する評価を指数化し、その合計ポイントなどで審査結果を出す仕組みだ。したがって各社の基準によって、その難易度も変わる。

3C審査の1項目「キャラクター」とは?「性格」や「人格」の審査

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(画像=PIXTA)

クレジットカードの申し込み審査では「3C」が重視される。「3C」とは「キャラクター(character)」「キャパシティ(capacity)」「キャピタル(capital)」の頭文字を取ったものだ。

3Cの1つであるキャラクターでは、簡単に言えばクレジットカード申込者の「性格面」を主な審査対象としている。例えば、支払いの滞納や延滞をしたことがあるか、過去に自己破産をしていないか、などの情報を審査する。滞納や延滞に対する審査基準が厳しいほど、発行難易度は高いということになる。

クレジットカードの申し込みがあった後、カード発行会社は審査のためにクレジットヒストリー(クレヒス)と呼ばれる個人の利用履歴を個人信用情報機関に照会する。日本にある指定信用情報機関である「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」と「日本信用情報機構(JICC)」、「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」にそれぞれ問い合わせると、これらの機関から申込者の情報が送られてくる。

これらの機関はそれぞれ、ショッピング利用に適用される割賦販売法に基づく指定を経済産業省から、キャッシング利用に適用される貸金業法に基づく指定を内閣総理大臣から受けている。

個人信用情報機関(1)株式会社シー・アイ・シーとは?

CICは、主に個人のクレジットカードやローンの利用履歴情報を保管している。CICのデータベースには、本人を識別するための「氏名」「生年月日」「性別」「住所」「電話番号」「勤務先」「勤務先電話番号」「公的資料番号」などのほか、過去に契約したクレジットカードの「契約日」「契約の種類」「商品名」「支払回数」「契約額」なども保管されている。

そして特にクレジットカードの審査や発行難易度でポイントになってくるのが、クレジットヒストリーの中でも「支払状況」に関する情報だ。保管されている「残債額」「請求額」「入金額」「入金履歴」「延滞の有無と発生日」「破産の有無と発生日」「延滞解消日」などのほか、分割払いの残り金額や年間請求予定額などもまとめられている。

CICでは、これらのクレジットカードやローンに関する情報が各契約の終了後5年間保管される決まりとなっている。

個人信用情報機関(2)日本信用情報機構とは?

日本信用情報機構(JICC)も国の指定を受けた個人信用情報機関で、クレジットカードやローンの契約内容のほか、返済や支払い状況、取引記録などの情報が個人ベースで保管されている。

本人を特定するための「氏名」「生年月日」「性別」「住所」「勤務先情報」などのほか、契約内容に関する情報として「登録日」「契約の種類」「契約日」「貸付日」「契約金額」「貸付金額」「保証額」などが登録されている。

返済状況に関する情報としては「入金日」「入金予定日」「残高金額」「完済日」「延滞」などの情報がまとめられている。概ねCICと同様の内容だ。

契約内容に関する状況と返済状況に関する情報は、クレジットやローンの完済日から5年を超えない期間保存される。そのほか、強制解約や破産申し立て、債券譲渡などの情報も登録され、こちらも5年を超えない期間で内容が保管される。

個人信用情報機関(3)全国銀行個人信用情報センターとは?

全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、一般社団法人「全国銀行協会」(JBA)によって設置・運営されている。個人のローンやクレジットカード、当座取引、保証・連帯保証人情報などに関する情報が登録されている。

本人と特定するための「氏名」「生年月日」「性別」「住所」「電話番号」「勤務先」などのほか、登録住居に送った郵便が届かなかったことがあるかなどの情報も登録されている。取引情報としては、クレジットカードやローンの借入金額や借入日はもちろん、最終返済日がいつか、延滞や強制回収手続き、強制解約が行われたことがあるかどうかも照会できる。

手形や小切手の不渡りに関する情報や取引停止処分の情報も登録されている。不渡り発生に関しては最大6カ月、取引停止処分については最大5年間情報が保管される。国が発表する官報に掲載される破産手続き決定の情報も最大10年間記録される。

ちなみにKSC・JICC・CICは、本人から開示請求があれば登録されている情報の開示に応じる。必要書類を送付して手数料を支払えば、クレジットカードの申込審査の際にクレジットカードの発行会社が目を通す情報を事前に確認できるわけだ。

クレジットカード申込書の書面も審査対象となる

キャラクターの審査においては、申込書に書いた内容の誤字脱字なども判断基準の一つになるといわれる。申込者の「ていねいさ」や「几帳面さ」を確認しているという点では、就職活動におけるエントリシートや履歴書と似ている。文字はていねいに書くように心掛けよう。

また、本人が書いた借り入れ状況と信用情報機関から開示された情報に大きな差異があった場合、申込者本人の信頼性が著しく低下することは免れない。勤務先への勤続年数や年収なども正直に申告することが重要だ。

現在ではクレジットカードの申し込みはインターネットでも行える時代になったものの、店頭で手書きで申し込むケースも多い。クレジットカードの審査とはいえ、審査には人も関わる。誠意を持って申し込み手続きを進めることが大切であるのは言うまでもない。

3C審査の2項目「キャパシティ」とは?「返済力」や「資力」の審査

3Cのうちの「キャパシティ」は、日本語では「返済力」や「資力」などと訳されることが多い。簡単に言えば、クレジットカードを利用して支払った金額をきちんと返済してもらえるか、または返済する能力があるのかを審査される。各社の審査をクリアする上でも、非常に重視されるポイントとなる。

特に重視されるのが「職業」「勤務先」「雇用形態」「勤続年数」「年収」「家族構成」などだ。高評価に結びつくケースと低評価に結びつくケースについて、実例を挙げて考える。

例えば、同じ弁護士事務所に10年勤続している弁護士(36歳男性)の例を挙げてみる。大学を卒業してから今まで転職したこともなく、その弁護士事務所は東京都内で5本指に入る事務所だとする。年収も高く、持ち家もあり、家族構成は配偶者である妻と息子と娘が1人ずついる。

このケースではかなり評価が高くなる。転職をしておらず勤続年数も長く、年収も高い。大手事務所であるため今後も安定収入が見込め、持ち家であるため不動産という資産も保有していることになる。また、結婚して家族がいると仕事をあまり辞めない傾向にあることなどから、高評価につながることが多い。

安定的な収入という観点では、弁護士や司法書士、税理士、会計士などの士業に就いている人のほか、国家公務員や地方公務員、上場企業の会社員などに対する評価は高い。発行難易度が高いクレジットカードの審査も通過しやすいだろう。

自由業・フリーター・アルバイト……高評価に結びつきにくいステータス

続いての例を考えてみる。同じく36歳男性だがイラストレーターとして収入を得ている個人事業主のケースだ。

作品に対する評価はすこぶる良いため、年収は同年代のサラリーマンより高いが、今後も仕事がずっとあるとは限らない立場である。イラストレーターとして生計が立つようになるまで3回ほど転職した。一戸建てなどの不動産を所有しておらず、賃貸マンションに住んでいる。結婚はしていない。

この人の場合は、年収は同年代のサラリーマンよりは高いものの、クレジットカード審査の観点からは高い評価を得ることは難しい。収入の安定という点においては懸念があるほか、結婚をしていないのですぐに仕事を変えるかもしれない。不動産などの資産も所有していない点も高評価に結びつかない理由の一つだ。

彼のように個人事業主のほか、アルバイト・パートや日雇い労働をしている非正規雇用の人は、クレジットカード審査においては高く評価されにくい傾向がある。自由業とも呼ばれる演奏家や画家などの芸術家なども、同様の評価傾向にある。発行難易度が高いクレジットカードの審査は通過しにくいと言える。

3C審査の3項目「キャピタル」とは?「資産」の審査

クレジットカードの審査基準である3Cの最後のCは「キャピタル」だ。日本語で言うなら「資産」のことを指し、クレジットカードの申込審査の際の一つの基準になる。

クレジットカードの発行会社が最も恐れるのが「貸し倒れ」だ。そのため、クレジットカードの審査においては申込者の資産状況も評価ポイントになる。

これまでの記事の中でも触れたが、持ち家がある場合は建物としての資産と土地としての資産を保有していることになる。車も資産に含まれるが、クレジットカードの申し込みの際には確認されないことも多い。

「在籍確認」は必ず行われる?発行難易度が低いクレジットカードは?

クレジットカードの審査の中で勤務先を書く欄がある。申込者が書いた会社で本人が本当に働いているかを電話などで確認することを「在籍確認」と呼ぶ。クレジットカードの申し込みを受け付けたあと、この在籍確認が行われるケースと行われないケースがある。

例えば申込者が同じカード発行会社の別のクレジットカードを既に持っている場合は、在籍確認の電話が省略されることがある。一方で、申込書に書いた勤務先が以前から持っているクレジットカードの申込の際に書いた勤務先と異なる場合は、基本的に在籍確認が行われる。また、信用情報機関に登録されている勤務先と申込書の勤務先が同じ場合にも、在籍確認が省かれるケースもある。

クレジットカードの審査の難易度は、クレジットカードを発行する会社やクレジットカードの種類によって異なる。一般的に最も審査の難易度が低いのは消費者金融系のクレジットカードだと言われている。反面、銀行系クレジットカードの場合は発行難易度が高めであると言える。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト)


Source: 株式投資
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