【投資用語を簡単解説】「全値戻し」や「半値戻し」どうやって計算するの?
【投資用語を簡単解説】「全値戻し」や「半値戻し」どうやって計算するの?
米大統領トランプ氏の関税導入発言を機に、米国はもちろんのこと、日本を含む世界の株式市場が下落している。不測の事態が発生した場合に、損失が発生することは仕方がない。しかし、平常時であれば、テクニカル分析を活用することで株価の動きをある程度分析することは可能だ。
テクニカル分析には様々な手法がある。なかには、株価がどこまで上昇するのか、もしくは下落するのか、株価の動きを考える際に役立つテクニカル分析手法があることをご存知だろうか。株式投資で負けないためにも、テクニカル分析を活用することは必須だろう。
株価は先行指標の一つ
基本的に株価は企業業績に基づいて決定される。一般的には、企業業績が良好であれば経営状況、いわゆるファンダメンタルが良好になるため、株価は上昇すると考えられる。しかし、株価は将来の企業業績や景気などを織り込んで動く「先行指標」とされているため、足元の企業業績や景気を参考に株式投資をしていては取引が後手に回ってしまい、損失を被ってしまいかねない。
株式市場の天井がどこなのか、そして、株価がいつ下落するのかを予見することは誰にもできない。しかし、株価がこれまでどのように動いてきたのか方向性はわかるだろうから、過去の株価水準に対して、現在の株価が安いのか高いのかということは分かるはずだ。
日経平均株価は2018年に入ってからも上昇を続け、2万4129円まで値上がりした。過去に対して、この時の株価が安いのか高いのかを考えれば、高いという答え以外にない。時間が経って初めてその時点の株価が天井だったとわかるわけだが、だからと言って、何もせず、株価が上昇する、もしくは下落する状況に手をこまねていいてもいいのだろうか。
フィボナッチ数列とは
テクニカル分析を使えば、株価の動きを分析することができる。中でも、「フィボナッチ数列」を活用して分析すれば、株価がどこまで下落し、どこまで上昇するのかを、あらかじめ分析することができる。
私たちの生活の中には、黄金分割または黄金比がよく使われている。たとえば、私達が幼少の頃に教わった図形の一つに正五角形があるが、正五角形の一辺の長さと対角線の長さは黄金比で作られた形状だ。五角形で思い浮かぶ物と言えば、米国の国防総省の建物「ペンタゴン」や北海道にある「五稜郭」などがある。他には、十字架の縦横の長さの比率や、ピラミッドの高さと底面の比率など、多くの物が黄金比によって形作られている。この黄金比がフィボナッチ数列を表す。
具体的な数値で黄金比を表すと「0.618:0.382」で表され、これを株式投資にも活用しているのが「フィボナッチ数列」の分析手法だ。株価の分析や時間の分析を行えると言われているが、価格の分析の方がその信頼性が高いとされている。
日経平均株価や個別銘柄の解説などで「株価の戻りは半値戻し(もしくは半値押し)の水準まで~」という解説を見聞きしたことがある人も多いだろう。半値戻しや半値押しといった株価水準を分析する際に、フィボナッチ数列を活用して分析を行っている。ちなみに、「株価の押し」は株価が上昇した後に下落すること、「株価の戻り」は株価が下落した後に上昇することを表す。
一般的な用語としては、「全値戻しや全値押し」「半値戻しや半値押し」がある。「全値戻し」は、株価が下落したが全部元に戻ったこと。反対に「全値押し」は、株価は上昇したが全部元に戻ったということになる。全値が100%で1になり、半値は半分なので50%で2分の1になる。他には、3分の1や3分の2がある。加えて、フィボナッチ数列の61.8%と38.2%が代表的な数字になる。
フィボナッチ数列の活用法
では、株式投資でどのようにフィボナッチ数列を使って分析するのかを具体的に解説していこう。
フィボナッチ数列では、過去の安値と高値を元にその価格差を算出し、前述した数値を利用して計算を行う。株価を分析する株価を分析する時に活用する数字としては、フィボナッチ数列の61.8%、38.2%に加え、50%、3分の1や3分の2になる。
日経平均株価で具体的に考えてみよう。たとえば、2018年1月23日の高値は2万4129円、2月14日の安値は2万950円だ。高値の2万4129円から安値は2万950円までの下げ幅は3179円になるので、これに前述の数字で価格を求めていく。
今回は、株価が下落したので、どこまで上昇するのかを算出する。安値が基点として計算値を加える。反対に、押す(下落する)価格を求める場合は高値が基点になる。
具体的な、計算方法は以下の通りだ。
2万950円+(3179×3分の2)=2万3069円
2万950円+(3179×61.8%)=2万2914円
2万950円+(3179×50%)=2万2539円
2万950円+(3179×38.2%)=2万2164円
2万950円+(3179×3分の1)=2万2009円
このフィボナッチ数列を活用した場合、日経平均株価が2月27日に2万2502円まで上昇した時に、高い水準まで上昇していることがあらかじめ分析できることになる。テクニカル分析を活用したからと言って、必ず当たるわけではない。しかし、雰囲気や勘だけで何もせずに投資をするよりはマシだと言えるのではないだろうか。株式投資で負けないためにも、テクニカル分析の活用を考えてみてはいかがだろうか。
横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、無料メルマガ発行、講演活動、株塾を行う。公式サイト「横山利香の資産運用コンシェルジュ」
Source: 株式投資