「独立・副業」前に知っておきたい「3大NG行動」

「独立・副業」前に知っておきたい「3大NG行動」

進学、就職、退職、転職、結婚、引っ越しなど。春は新しい生活がスタートする季節でもある。なかには、資格を取得して、脱サラして独立・開業するという人もいるだろう。

筆者がFPとして独立したのは、1998年4月。ちょうど今年で20年になる。とくに大したスキルや資格があるわけでもなく、コネ・人脈などもなかったが、FPとして生計を立てこられたのはなぜか?同業者のなかには、FPでは食べていけないと判断したのだろう。仲間内で、「◯◯さん、最近見なくなったね」とささやかれる人も少なくなかった。

大変おこがましい話ではあるが、これまでの自分を振り返りつつ、これから独立したいとお考えの方(とくに資格や特技で身を立てたい方)が、やってはいけないNG行動をご紹介したいと思う。

資格取得の目的は、「独立」よりも「スキルアップ」のため

独立,副業
(画像=PIXTA)

ビジネスパーソンに人気の高い資格といえば、TOIEC®テスト、日商簿記検定、宅地建物取引主任者、中小企業診断士、社会保険労務士などが挙げられる。

筆者が保有するFP技能検定も、金融・証券・保険系の企業に勤務する方を中心に取得する人が多いようだ。なかには、資格取得が会社で推奨あるいは義務化されていたり、資格手当・奨励金などの待遇面に反映されたりといったケースもある。また、これらの業界を希望する学生が在学中に取得して、就職活動のアピールポイントに活用しているのも良く見受けられる。

ただ、資格取得の目的は、自己研さんやスキルアップのためという人が半数以上を占める。オンライン資格講座を提供するKIYOラーニングが実施した「資格取得のための試験勉強に関しての実態調査 2017」によると、資格を取得しようと思ったきっかけについて、最も多かったのは「スキルアップのため」(56.0%)だった。

以下は「独立を考えているから」(26.5%)、「現在の業務上必要だから」(24.7%)、「転職を考えているから」(23.2%)と続く。

また同調査によると、50代のその他回答として目立ったのが「再就職のため」(6.7%)だったという。今や60歳でリタイアして悠々自適な老後を送れるという時代ではない。リタイア後の資金を補うためにも、公的年金の本格的受給までの費用をまかなうためにも、資格取得で再就職を有利にし、60歳以降の収入を確保したいというシニアが出てきたというのは、最近の傾向なのかもしれない。

独立した人がやってはいけない3つの行動

ただし、できるだけ長く働ける環境を作るといった点では、「独立・開業」も選択肢のひとつである。本人のやる気と方法次第では、いつまでも働けるし、実力と努力に応じて収入が増える。何より、自分のやりたいこと、好きなことを仕事にできるというのは、大きな魅力ではないだろうか?

さてそこで、晴れて資格やスキルを取得して独立した人が、長く仕事をしたければやってはいけないこととはなんだろうか?

おおまかに言うと、次の3つである。(1)スケジュールを埋めることに躍起になってはいけない(2)「何でもやります、できます」と言ってはいけない(3)自分を安売りしてはいけない

さて、それぞれどういうことか、詳しく説明しよう。

(1)スケジュールを埋めることに躍起になると能力は枯渇する

独立してスケジュールに何も予定が埋まっていないと、ほとんどの人は不安に駆られる。仕事がなければ予定を書き込みようがないし、お金も入ってこないから当然だ。しかし、仕事をするということは、いわば、自分の能力を「アウトプット」している状態なので、スケジュールを埋めること(=アウトプット)ばかり躍起になっていると、いずれ能力は枯渇してしまう。要はネタ切れ、という感じだ。

短い人であれば3ヶ月程度で、次の仕事がまったく入ってこない。そうならないためには、新しい情報や知識を「インプット」してやる必要がある。なかには、インプットばかりして、ほとんどお金が出て行く一方という人もいるのだが、仕事を長く続けている人は、このインとアウトのバランスの取り方が上手な人が多い。

(2)「何でもできます」という人には仕事は任せられない

独立直後など、「何でもできます、やります、お願いします!」と営業して回る人も多い。しかし経験上、何でもできますという人ほど、仕事をお願いしてみると、何もできないというケースが多い。それによりも「◯◯なら任せてください」とか「××には自信があります」と言われた方が安心して任せられるし、案件を紹介もしやすい。

どんなポジションでも能力が発揮できるオールラウンダーは、会社では重宝されるかもしれないが、独立となると、ちょっと影が薄くなってしまうかも。逆に、狙っているのがニッチな分野であればあるほど、ニーズは高くなるし、仕事が集中するものなのだ。

(3)「経験を積んだら報酬をアップしよう」という人は一生単価が安いまま

いわば「自分の能力に対する値付けをどうするか?」である。これが非常に悩みどころだ。独立直後は、まだ経験も浅いし、報酬が高いと仕事がこないかもしれないと考える人は少なくない。「いくらでも良いので、とにかく、やらせてください」と、お試し期間的に安売りしてしまうわけである。

しかし、実際のところ、一度設定した報酬はなかなか値上げできないもの。最初は、仕事の依頼がきて、ありがたいと思っていても、儲からないので、そのうち、モチベーションがあがらなくなる。

単価が低いと仕事の量をこなさなければ生活が立ち行かなくなり、質(クオリティ)が低下するといった悪循環に陥る。スペシャリストとして仕事をするのであれば、最初から安売りしてはいけない。適正な報酬を設定し、それに見合ったプロの仕事をするべきなのだ。

さて、いかがだろうか?独立開業すれば、成功も失敗もすべて自己責任。会社の社会的信用や上司・同僚からの助言や指導、アドバイスもなく、自己責任能力が問われることになる。

副業やアルバイトはタブーだった以前に比べ、今や政府が「働き方改革」の一環で、副業や兼業を推進している時代。ちょっとやってみたいけど、自信がないという方は、お試し気分で、週末だけなど、「プチ独立」してみるのも良いかもしれない。

黒田尚子黒田尚子FPオフィス代表 CFP®資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CNJ認定乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格を保有。新聞・雑誌・サイト等の執筆、講演、個人向けコンサルティング等を幅広く行う。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。近著に『親の介護は9割逃げよ: 「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし(http://amzn.to/2HYwvKb)』がある。


Source: 株式投資
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