2018年新しいユニコーン企業は16社。中国企業は4社ランクイン 美菜網、曹操専車ほか
2018年新しいユニコーン企業は16社。中国企業は4社ランクイン 美菜網、曹操専車ほか
独自の科学技術を売りに創業した者は、みな等しくユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー)となることを夢見る。しかしCB Insights(未公開企業のデータベースサービス)による2017年の統計によると、ユニコーンとなる確率は1%以下に過ぎない。
そうした中、2018年第一四半期の終わったところで、世界中から16社が新たにユニコーン企業入りした。中国企業は4社がランクインしており、これは米国に次ぐ数である。ニュースサイト「今日頭条」が伝えている。以下、中国期待の新ユニコーン4社を解剖してみよう。
美菜網(Meicai) 食材のB2B、レストランへの食材販売など
美菜網は2014年6月、北京で設立された。これまで受けた融資総額は4億7700万ドル。企業価値は28億ドルと見積もられている。
創業者の劉傳軍は、1982年山東省生まれ。中国科学院出身の空間物理学修士。かつては月や火星の研究にいそしんでいた。
主要業務は、食材のB2Bネット通販、レストランに対する食材の販売とサービスである。美菜網は自社のメリットとして、産地直送、一万種に迫る豊富な品揃え、新鮮低価格、厳格な食品安全検査、日々の情報提供、迅速な商品調達、専門の運送を使用、コンサルティング、アフターサービスなどを挙げている。
ネットを通じて農業、農村と農民の変革を目指す。自前の倉庫と物流システムを持ち、高度な農産品サプライチェーンを構築した。産地から需要家までの高速流通を実現させていく。
曹操専車 ライドシェアやレンタカー
曹操専車は2015年11月、杭州市で設立、寧波市で事業を開始した。これまでの融資総額は、3億8000ドル。企業価値は16憶ドル。
自動車製造大手の吉利自動車の支援を受けて設立。主要業務は、新エネルギー車(電気自動車)のライドシェアやレンタル。
展開都市は、寧波から始まり、杭州、青島、南京、成都、厦門、天津、太原、大連など17都市へ拡がっている。
曹操専車は新エネルギー車専門のサービスプラットフォーム作りを目指し、3つの目標を掲げている。
1 新エネルギー車によるライドシェアの“生態圏”作り。
2 新エネルギー自動車産業の発展と普及。
3 インターネット+新エネルギー車ライドシェアのプラットフォーム確立。安全、敏捷、低炭素、高品質なライドシェア(配車アプリ)ブランド作り。
斗魚 ネット放送局
斗魚は2014年1月、武漢市で設立。これまでの融資総額11億ドル。企業価値は15億ドル。
斗魚は、インターネット放送局である。斗魚TVアプリをダウンロードした顧客に、映像コンテンツを視聴してもらう。実況中継や自社制作の番組に力を入れている。2016年の段階における1日当たりアクティブユーザー数は1200万、月間では1億3000万~1億5000万。ピーク時のアクセス数は、淘宝(アリババのC2C通販サイト)の80%ほどに達するという。
2016年に騰訊(テンセント)の出資を受け入れた。2018年3月、騰訊はさらにゲーム専門チャンネルのために40億元を追加投資した。著作権、映像ソースでも提携を深めており、事実上は騰訊グループである。
生放送の多元化を模索するとともに、ゲーム、科学、スポーツ、音楽、映画まで含めた一体型総合ネットテレビ局を目指す。
趣頭条 自社によるニュース作成に注力するメディア
趣頭条は2016年6月、上海で設立。これまでの融資総額は1億ドル。企業価値は14億ドル。
趣頭条は、新しい着眼点と新しい価値の創造を標ぼうする、“新生代”のニュース、情報アプリである。「人民網」「環球網」「金融界」など提携メディアは10社と少なく、自社によるニュース作成、情報発信に力を入れている。
具体的な生活お役立ち情報から、軍事関連ニュースまで提供している。フルラインを扱いつつ独自視点にこだわる姿勢のようだ。また執筆者の発掘と育成にも注力している。
日本企業は育たず?
米国、中国の他には、イスラエル、ルーマニア、オーストラリア、スペインなどの企業が入選している。残念ながら日本生まれは一つもなく、寂しい限りと言うしかない。
スタートアップネクストによると、日本のユニコーン企業は、DMM.com メルカリ プリファードネットワークス(PFN)の3社だけである。
中国のユニコーン企業トップ、アント・フィナンシャルの企業価値は750億ドルとまったく桁が違う。さらに毎年、このような新しい企業が、ユニコーンの仲間入りを果たしている。
上場企業の決算も大切だが、ユニコーン企業不足こそ日本経済にとって、最も深刻な問題ではないだろうか。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)
Source: 株式投資