【週間マーケット展望】北朝鮮が核実験の停止を表明「株高期待」高まる
【週間マーケット展望】北朝鮮が核実験の停止を表明「株高期待」高まる
先週(4/16〜20)のNYダウは2週続伸。米中貿易摩擦の株安懸念が払拭され、米18年1〜3月の好決算期待を織り込み、米株高から世界の株式市場は回復トレンドとなった。
21日に北朝鮮が核実験を停止するとのヘッドラインが流れ、今週の株高期待が高まる。27日の南北首脳会談が米朝首脳会談(6月初)に大きな影響をあたえるだけに今週も海外地政学動向には敏感な週になりそうだ。
米長期債利回りが再び騰勢を強めており、原油の急騰とともに世界景気のスローダウン要因になりかねないことが懸念材料だ。米10年債利回りは20日、2.96%と2月末につけた2.95%を上回り、4年3カ月ぶりの高水準をつけた。原油先物は19日、一時69ドル台後半まで上昇し、3年5カ月ぶりの高水準だ。
米景気指標は堅調なことから、CMEのFFレート先物価格は次回6月13日のFOMCでの利上げ確率は98%となっている。9月FOMCでの再利上げ確率も8割方は織り込んでいるようだ。FOMCの利上げと長期債利回りの上昇が同じようなペースならば問題は少ないが、金利が先行して急騰するようだと金融市場が混乱する。2月の株安は、金利上昇でVIXが高騰しとことが原因だった。
米決算は法人減税効果もあって好決算が多いが、市場の焦点は減税効果を除いた今後のガイダンスに集中している。19日には台湾の半導体アセンブリー大手のTSMC(台湾セミコン)が好決算ながらもスマホの不振から弱気なガイダンスを発表し、アップルやアップル関連銘柄が売られ、日米の株価下落を牽引した。今週のグーグル、アマゾンなどIT系大手の決算に注目が集まる。今週は日本企業の決算発表も始まり、物色動向は決算プレイが中心になりそうだ。
週間株式展望 2万2000円〜2万2500円のレンジを想定
今週(4/23〜27)の日経平均は2万2000円から2万2500円のレンジを想定している。
20日のNYダウは201ドル安の2万4462ドルと3日続落で終わったが、リスクオフの円高にはなっていない。NY為替市場のドル円の終値は107円70銭と円安傾向が続いている。北朝鮮の核実験停止のニュースで、今週の株高への期待が高まる。サポートは5日移動平均の2万2038円。75日移動平均線の2万2219円を超してくるようだと、2月27日の戻り高値2万2502円、2月5日のVIXショックに急落時の窓埋め2万2659円が次のターゲットになる。
日本企業の決算では、1〜3月期の為替水準から、外需企業は業績を下方修正するガイダンスリスクが懸念されるが、内需企業は業績の上振れが期待される。ガイダンスリスクさえ織り込めば、足下では円高は反転し始めており、PERなどのバリュエーションは割安なだけに見直し買いが入ってもいいタイミングだろう。
安倍内閣支持率の低下で海外メディアでは「安倍EXIT」を懸念する報道が増えてきた。外国人は政治的混乱を嫌う。柳瀬元首相秘書官の証人喚問や財務相・福田事務次官辞任が麻生財務相の責任問題まで発展するようだと日本株も再調整する可能も高い。ただ、首脳会談など国際的にポジティブなニュースフローが続くなら、内閣支持率が持ち直すこともあり得る。安倍内閣は海外情勢に救われる可能性が高いと見ている。
4月第2週の投資家別売買動向では、外国人投資家は現物・先物合計で5729億円買い越しと2週連続の買い越しとなった。外国人は、12週連続で9.4兆円を売り越して日本市場の調整を主導した。4月1週に買い越しに転じたばかりで、先週も買い越し継続だった可能性が高い。外国人は過去17年連続で4月は買い越しであり、アノマリーが繰り返される可能性が高まってきた。
先週の(4/16〜20)の日経平均は4週続伸、週間で383円50銭(1.8%)高の2万2162円24銭で引けた。4週連続高は今年初めて。2万2000円台回復は7週間ぶり。
13日から19日まで日経平均は5連騰。5連騰も今年初。3月26日安値2万0347円から19日高値の2万2360円までの戻し幅は2013円。1月23日高値から3月26日安値までの下げ幅の半値戻しを達成した。
13日には、アメリカのシリア攻撃が一回のみとの報道で中東の地政学リスクは一旦後退した。17〜18日には、日米首脳会談で米国が米朝首脳会談で拉致問題を支援し、日米貿易不均衡、為替に関するタカ派発言はなかったことで市場はポジティブに反応した。18日には、米CIA長官と金正恩委員長の面会が伝えられ好感した。19日はザラ場で2万2360円高値をつけ、2月5日以来2ヶ月半ぶりに75日移動平均線を一時奪回した。
75日移動平均線を上回れば、トレンドが右上がりに転換したとの見方が強くなる。5日移動平均線は、4月5日に25日移動平均線とゴールデンクロスした。来週上げると5日移動平均線が75日移動平均線ともゴールデンクロスし、テクニカル的な強さが確認出来そうだ。
19日前場に200円を超える上昇でザラバ高値をつけた後、財務相のスキャンダル問題などを懸念して32円高まで上げ幅を縮小した。翌20日は、週末と言うこともあって、28円安と小幅ながらも6日ぶりに下落して引けている。
週間為替展望 107円00銭〜108円50銭のレンジを想定
今週(4/23〜27)のドル円相場は107円00銭から108円50銭のレンジを想定している。
先週の(4/16〜20)の東京為替市場で円は小幅ながらも4週ぶりに反騰、東京インターバンク間の17時のドル円レートは9銭の円高の107円56銭だった。3月26日に米中貿易摩擦懸念からつけた104円64銭をボトムにドル円は3週間続落で3円値幅を超える円安になったことから、先週は一服となった。2〜3月は有事の円高が続き、日米金利差が拡大しても円高になるという反応だったが、足下では米長期債利回りが上昇すると日米金利差拡大から円安になるという平常時の動きに戻りつつある。
20日のNYダウはハイテク決算への懸念から3日続落で201ドル安だったが、NY為替市場でドル円は107円70銭で引け、東京時間17時の107円56銭よりも円安だった。米長期債利回りが2.96%まで上昇し、日米金利差拡大がしたためだろう。先週の東京市場でのドル円の高値は20日の107円73銭だったが、20日のNY市場では一時107円86銭と東京市場での週間高値を上回り、2月21日以来2カ月ぶりの円安水準を付けた。
16日のドル円は一時107円13銭と前週末比52銭の円高だった。米国がシリアを攻撃、週末のメディア各紙のアンケートで安倍内閣支持率が急低下したことが円の買い材料となった。17日には一時106円89銭と106円台まで円高が進んだが、日米首脳会談を無事通過したことで17日17時には107円を回復、18日には米CIA長官と金正恩委員長と面談したと報じられ107円31銭と円安が進んだ。20日には一時107円73銭と週間でドルの高値をつけた。
ドル円の75日移動平均が107円80銭にある、2月21日の戻り高値は107円90銭。このあたりの節を抜ければ2月13日以来の108円台回復となりそうだ。次は1月25日安値の108円50銭まで大きな節はないので一気に円安が進む可能性もある。
武田がアイルランドのシャイアー社に約6.5兆円の買収提案をした。もし実現すれば日本企業過去最大のディールとなる。決定すればドルをポンドに転換する需要が発生するため、円の売り材料になる可能性が高いことには留意しておきたい
今週のイベント・経済指標
今週は、南北首脳会談が最大のイベント。日銀金融政策決定会合、ECB理事会も予定されているが、現状据置の可能性が高そうだ。米IT系大手、グーグル、フェイスブック、ツイッター、アマゾン、マイクロソフトなどが決算発表する。米国だけでなく世界のハイテク株の方向性を決めるため重要だ。アップルの決算は5月1日。
【23日】米中古住宅販売件数、米シカゴ連銀全米活動指数、米決算:アルファベット(グーグル)
【24日】米仏首脳会談、米消費者信頼感指数、決算:日本電産、米決算:キャタピラー、テキサスインスツルメンツ
【25日】ASEAN首脳会議、北京モーターショー(〜5/4)、北朝鮮人民革命軍創建記念日、米CB消費者信頼感指数、米新築住宅販売件数、独Ifo景況感指数、決算:東京エレクトロン、ファナック、米決算:フェイスブック、ツイッター、バイドゥ、ボーイング、フォード、AT&T
【26日】日銀金融政策決定会合(〜27)、ECB定例理事会、アジア欧州会議財務相会合、米耐久財受注、決算:ソニー、コマツ、任天堂、アドバンテスト、米決算:アマゾン、GM、インテル、マイクロソフト
【27日】南北首脳会談、黒田日銀総裁会見、日銀展望レポート、住宅着工、鉱工業生産、米1〜3月GDP速報。決算:村田、ホンダ、信越
主要政治日程は以下のとおり。
27日 南北首脳会談
5月9日頃 日中韓首脳会談
5月中 米朝首脳会談
5月26日 日ロ首脳会談
6月初 日朝首脳会談
平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。
Source: 株式投資