決算シーズン到来!~新興市場で上方修正が期待される「活躍銘柄」候補は!?
決算シーズン到来!~新興市場で上方修正が期待される「活躍銘柄」候補は!?
新年度相場が始まり、株価は一時に比べると落ち着きを取り戻しているようです。東証マザーズ指数や日経ジャスダック平均など新興市場の株価指数は日経平均株価に比べ、戻りが鈍く出遅れています。構成比の高い主力株の不振が主因ですが、むしろ今が仕込み時かもしれません。米国と中国の「貿易戦争」がやや気になる所ですが、3月期決算の本決算発表シーズンを控え、市場は企業業績への関心を高めつつあるように思われます。
前回(4/13付)の「日本株投資戦略」では、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できる「好業績銘柄」を探るべく、時価総額500億円以上1千億円未満の東証1部上場銘柄を対象にスクリーニングを行いました。
今回は分析の対象を新興市場に限定し、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できる銘柄をスクリーニングにより抽出したいと思います。決算発表間近の時期のため、分析の対象としたのは3月期決算で、時価総額100億円以上の東証マザーズまたはジャスダック市場の上場銘柄です。
また、大事なポイントとして、足元の業績もさることながら次期の会社側業績予想数字の強弱が株価の重要なカタリスト(変動のきっかけになる材料)になると考えられます。その際には会社側の前提条件が重要となります。中でも輸出産業を中心に為替レートが大きなファクターとなります。会社側は保守的な為替レート(今回の場合は1ドル=100円や105円)を前提条件とする傾向があります。このため今回は業種別株価の為替感応度が大きなセクター(円高・ドル安がマイナスとなりやすいセクター)を除いてみました。
上方修正が期待される新興市場の3月期決算銘柄は!?
さっそく、新興市場の銘柄で、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待でき、「活躍銘柄」として期待できそうな「好業績銘柄」を探るべくスクリーニングを行ってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。
1.東証マザーズまたはジャスダック市場に上場する3月期決算銘柄であること
2.時価総額が100億円以上(2018年4月17日現在)であること
3.広義の金融を除くセクターに属していること
4.第3四半期(累計)の営業増益率が2018年3月期(通期)の予想営業増益率(会社予想)を上回っていること
⇒表1では(A)の数字が(B)よりも大きくなります
5.第3四半期(累計)の営業増益率が20%を上回っていること
6.2018年3月期の会社予想営業増益率が10%超となっていること
7.株価の為替感応度(円高・ドル安がマイナス)の高い上位10業種以外の業種に属していること
表1は上記のすべての条件を満たす銘柄について、第3四半期(累計)の営業増益率が大きい順に並べたものです。
エンバイオ・ホールディングス は土壌汚染対策事業を主力とし、汚染された土地の購入・浄化・再販も行います。また自然エネルギー発電(太陽光、バイオマス)も行っています。中期的には法規制の整備が進行している中国での土壌汚染対策事業が注目されます。
ニッポン高度紙工業 はアルミ電解コンデンサやアルカリ乾電池・リチウムイオン電池に使われる電機絶縁用セパレーター用紙の専業メーカーで、世界シェア6割程度を有します。主力のコンデンサ向け絶縁紙が車載用や産業機械向けに好調です。
日本コンピュータ・ダイナミクス は、IT関連事業(システム開発、インフラ保守サービス)と自転車の駐輪システムの設計・施工・運用管理が経営の2本柱です。両事業とも安定した受注獲得が続いている上、業務プロセスの改善によるコストダウンから好調な業績となっています。
IT関連ではダブルスタンダード も注目されます。企業向けのビッグデータの収集や処理に強みを持つ会社で、様々な元データを一元管理するデータベースの整備が主力事業です。新規分野としてビッグデータの活動支援やFinTech領域、AIを活用した業務改善システムなどを開発中です。新規案件の獲得が進んでおり好調な業績となっています。また、ラクス も主力のクラウド事業が好調な上に、IT人材派遣事業が堅調です。
人材関連では、求人サイトや転職情報の大手であるエン・ジャパン が、労働需給の逼迫を背景に業績が好調です。顧客企業の採用者の定着を狙った、離職リスクの可視化サービスを開始します。
Webサービス分野では弁護士ドットコム が注目されます。弁護士向け営業支援サイトの運営会社ですが、弁護士全体の3分の1に達する登録会員数を有しています。今後は税理士の支援サイトにも注力する模様です。また、中期的にはWeb完結の契約書作成システムの「クラウドサイン」が急速に普及しており、事業内容に厚みが出てきそうです。
慎重な業績見通し等に注意
今回のスクリーニングは「4」がポイントです。「4」の条件を満たしていることで、その会社は「通期の会社予想営業利益」を上回る勢いで第3四半期を通過したとみなすことができます。したがって、ビジネスが順調に進んでいれば、業績予想が上方修正される可能性が出てくると考えられます。さらに(E)の進捗率が4分の3、つまり75%以上(収益の季節差がある点に留意)であれば、上方修正の確率が高まることになります。
なお、スクリーニングの結果、ご紹介する銘柄の多くがサービス業や情報・通信業の企業となりました。もともと新興市場の企業には製造業よりも第三次産業が多い傾向があります。円高との株価感応度が高い業界を除外したことも影響したと思われます。
全般的に米中の貿易摩擦等や円高・ドル安進展を背景に、為替前提について従来の1ドル=110円前提から100円~105円に修正し、会社側が2019年3月期の業績予想を慎重に出してくる可能性があり、その点は注意が必要です。ただし、今期のスクリーニングでは、その多くが内需関連の銘柄となったため、会社側による慎重な業績予想のリスクは軽減される可能性が大きいと考えられます。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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Source: 株式投資