会社名義の保険で節税はできるのか?法人保険のカラクリ

会社名義の保険で節税はできるのか?法人保険のカラクリ

不動産管理法人を設立することのメリットのひとつに、法人保険に加入できるということが挙げられます。しかし、具体的にどんなメリットがあるのかよくわからない人が多いでしょう。不動産投資の戦略づくりを考えるのであれば、法人保険の活用が重要です。この記事では、法人で入れる保険の種類やメリット、注意点について解説します。

法人で入れる生命保険にはどのようなものがあるか

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(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

法人名義で加入できる保険には次のようなものがあります。基本的に役員、つまり投資家本人が死亡したときに、法人が保険金を受け取るものです。

<終身保険>
一生涯保障される、積み立てタイプの生命保険です。

<定期保険>
満期保険金がなく、死亡時のみ保険料が支払われる掛け捨てタイプの生命保険です。保険期間は決まっており、一生涯保障されるものではありません。掛け捨てなので解約返戻金はほとんどありません。

<長期平準定期保険>
保険期間が長期にわたる定期保険です。保険期間が100歳までなど、実質的に終身保険に近い内容で、解約返戻金も終身に近い金額となります。

<逓増定期保険>
定期保険のうち、保険金額がだんだん増額していくものです。

法人名義で加入することのメリット

個人でも入れる生命保険にわざわざ加入するのは、何の意味があるのか疑問に思うかもしれません。法人で生命保険に入るメリットは損金算入できる額が大きいことです。法人の所得を減らすことによって節税するとも言い換えられます。個人の生命保険料控除は新契約の場合、年間で4万円までですが、法人の場合、税法上は限りがありません。

どれだけ損金に入れられるかは、保険のタイプによって変わります。長期平準定期保険は保険期間と保険料支払い期間の関係によっては扱いが異なりますが、基本的に2分の1を資産計上し、2分の1が損金です。逓増定期保険も同様に期間によって2分の1または3分の2、4分の3を資産計上します。それ以外の定期保険は全額損金算入です。終身保険の場合は全額資産計上します。

不動産管理法人で利用される保険は、解約返戻金が多く、かつ損金に参入できる幅も広い長期平準定期保険が多くみられます。実際に加入を検討するにあたっては、損金算入の条件を含め、キャッシュフローや利益などの状況からメリットがあるのかどうか税理士や保険コンサルタントにみてもらったほうがいいでしょう。ここでは概略だけ説明します。

長期平準定期保険の注意点。半分を損金算入できるといっても……

例えば、ある年に2分の1損金算入できるタイプの長期平準定期保険の保険料1,000万円を支払うと、500万円は所得から控除し、500万円は資産として決算書に反映させます。法人税の税率が30%だとすると、500万円×30%=150万円の節税になるように見えます。しかし、長期でみたときに本当に節税になるのかは、よく考えてみなければなりません。

いくら節税になるといっても、支払った1,000万円が返ってこなければ、節税分の150万円を以外の850万円は支払い損になります。投資家が生きているうちに850万円を取り戻すには、解約して解約返戻金をもらうことです。そして、解約返戻金を受け取るときに、資産としていた500万円を取り崩して、受け取った残りの分は益金になります。つまり、税務上は売り上げ(家賃収入や礼金など)と同じように処理しなければならず、その年は税金が増える可能性があるのです。

先ほどの例の続きで、解約返戻金がちょうど1,000万円になる年に解約したら、うち500万円は資産を消し込むだけなので税金はかかりませんが、残りの500万円には税金がかかります。結局、支払い時に節税した150万円と同額を支払うことになります。

なぜこのようなことを行うかというと、赤字と黒字を調整できるからです。不動産投資は最終的なキャッシュフローを増やすために節税は必要ですが、同時に金融機関から融資を受けるためには黒字で居続ける必要があります。「もうかっているときには保険を支払う」「危ないときには取り崩すこと」によって平準化できるのが長期平準定期保険なのです。

法人化すると財務戦略が広がる

不動産投資家が所有する不動産管理法人が加入できる保険のひとつに、長期平準定期保険があります。2分の1を損金算入できるものですが、保険を解約したときには同等の額を益金に算入する必要があります。長い目でみると節税とはいえませんが、黒字と赤字の調整という、法人ならではの財務戦略ができるのです。(提供:Nowstate

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Source: 株式投資
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