4/30・5/7週合併号 投資環境改善で上昇余地を探る展開
4/30・5/7週合併号 投資環境改善で上昇余地を探る展開
日経平均予想レンジ22,000~22,689円
今週は米長期金利を背景とする米国株安の流れを引き継ぎ、日経平均は世界景気の先行きに対する懸念から積極的にリスクを取る動きは見られなかった。大型連休を前に22,000円台固めに推移したが、週末は米国株高を好感して買われ22,467円で終了した。
海外の焦点
米国では原油高やインフレ懸念を背景にした米長期金利の上昇が株価を圧迫した。10年債利回りは約4年3ヶ月ぶりに3%台にのせ、企業業績への警戒感が広がっている。3%突破の金利上昇は借入れコストが上がることで株式の強気相場を支えてきた企業収益の伸びが崩されかねない。加えて物価上振れの兆しやFRBが利上げ路線を堅持していることが投資家の警戒感を助長しているといえる。もっとも長期金利上昇でダウ平均が2月に2度も1,000ドル超の急落に見舞われた時と比較してパニック売りには至っていない。ただ一段と利回りが急騰した上に原油価格が節目の70ドルを突破すれば、大きなリスクと捉えられるだけに注視しておきたい。
米大手シンクタンクの今年の成長率見通しは3.8%で、4.3%成長を達成した2010年以来最高となる見通し。現時点では全面的な貿易戦争のリスクは限定的だが、保護主義的な貿易政策推進が世界経済の落とし穴となり景気が減速する恐れがあると警告している。
国内の焦点
NYダウと日経平均の格差が縮小してきた。日経平均は年初からドル安・円高が進み、2月には一時3,700ptも開いていたが4/26にはドル安・円高リスクが後退したことから1,855ptまで出遅れ修正の力が働いた。今後、ドル高・円安傾向が続けば、日経平均の上昇余地は一段と広がりそうだ。なお、日本企業の2017年度の決算発表が始まっている。2018年度は減益リスクはあるものの、終った2017年度の225銘柄の1株当り純利益は1,700円付近での最高水準。これに見合う日経平均の適正水準はPER14倍の23,800円。2018年度が極端に保守的な予想でなければ利益と比べた割安修正の動きが持続してもおかしくない。
需給面では、外国人が4月に入り3週連続で現物先物合計1兆4,800億円買い越した。米中摩擦後退や日米首脳会談を無難に通過したことに加え、ドル高進行で継続的な見直し買いが期待される。
来週・再来週の株式相場
以上、来週・再来週は世界的な緊張緩和ムード継続の中、企業の決算が注目される。円安進行の期待感を背景に2018年度の企業の利益予想が最大の焦点。日経平均のレンジは、上値はフィボナッチ比率22,689円が意識され、下値は節目の22,000円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト
Source: 株式投資