マンション経営にも通じる?REITの選び方
マンション経営にも通じる?REITの選び方
REIT(不動産投資信託)は不動産投資のプロにお金を預けて運用してもらうものです。しかし、東京証券取引所に上場しているJ-REITは2018年3月時点で50銘柄以上があり、どれを選ぶかの判断は投資家の目利きにゆだねられます。マンション経営に通じる部分もあるかもしれないREITの良し悪しを判断する方法を知って、上手に投資しましょう。
NAV倍率
NAV倍率は株式でいうところのPBRです。PBRとは、1株あたり純資産のことであり、割安さ・割高さをみる指標です。「企業が持っている純資産に株価以上の価値があるかどうか」を判断します。もし、会社が倒産しても、PBRが1以下なら理論上は損しないといえます。(あくまでも理論上です)
つまり、おおまかには、NAV倍率は倍率が1未満であれば割安、1以上であれば割高というのが目安になるでしょう。数値が低ければ低いほど割安というわけです。NAV倍率は次のように計算します。
・資産(不動産の時価評価)-負債(借り入れ金)=純資産(時価)
・純資産(時価)÷総口数=1口あたりNAV
・1口の価格÷NAV=NAV倍率
NAV倍率はPBR同様、「市場による評価が高いか低いか」をみる指標ともいえます。通常、証券会社のサイトなどでNAV倍率をみることができます。ただ、ひとつ注意すべきこととしては「低ければ良い」「高ければ悪い」とは限らないということです。業種によっては、数値が低いことが一般的ということもあります。低ければ、それなりの理由があるはずです。目論見書などをよくみて、「なぜ安いのか」「なぜ高いのか」を考えることが大切といえます。
ちなみに現物不動産投資において、純資産がマイナスになっていたら債務超過となり、危険な状態です。REITと違って時価を毎年鑑定することは難しいですが、ある程度不動産価格の推移には注意を払っておくべきでしょう。
不動産の種類
REITは投資する不動産の種類によって次のように分けられます。
<特化型>
・住居型
・オフィス型
・商業施設型
・物流施設型
・ホテル型
このほか、高齢者施設に特化した「ヘルスケア型」「地域集中型」といった分け方もあります。これらのうち複数に投資するものを「複合型」「総合型」などといいます。経済環境から、これらの種類のうち「どれがもうかりやすいのか」について判断するのがセオリーです。
例えば、家賃の推移やオフィス賃料、利回りなどの推移をみて、「これからは住居型のほうがもうかりやすい」という考え方もあるでしょう。ほかにも、全体的に景気が上向いてきたときは「商業施設型」や「物流施設型」、海外からの旅行客が増えると予測した場合は「ホテル型」など状況に応じて選択します。これらのマクロ的な経済状況に加えて、投資法人がどんな戦略を持っているかもポイントです。
現物不動産投資家は、投資法人の投資についての考え方から、有効な知見が得られるかもしれません。現物不動産投資では、ほとんどの人がマンションやアパート、戸建てなどの住居に投資します。しかし、REITではマクロな視点からさまざまな銘柄を選ぶことができることが魅力でしょう。
もし、選択に迷ったら、総合型にしてみるのもいいでしょう。よくわからずに偏った投資をして低いリターンになってしまうよりも、全体のバランスをとれたほうがリスクの低い投資ができる可能性が高いです。
分配金利回り
分配金利回りの考え方はシンプルです。
・分配金÷REIT価格=分配金利回り
よく投資判断に使われるのは、予想分配金利回りを現在のREIT価格で割った予想分配金利回りです。現物不動産投資でいうところの想定家賃収入ともいえます。一般社団法人不動産証券化協会の「マーケット概況」によると、2018年2月の平均分配金利回りは4.1%です。2008年3月からの10年をみてみると、平均分配金利回りは3~6%前半の範囲に入っており、銘柄による違いは比較的少ないといえます。
ただ、その中でもなるべく高利回りの運用をしたいと思うのが投資家でしょう。分配金をみる際には、価格の推移にも注意する必要があります。予想分配金は基本的に変わりませんが、価格は毎日変動することが一般的です。投資信託と違って市場の売買によって変わるので、機関投資家(保険会社や年金基金など)から大口の買いが入れば価格は上がります。
たまたま、そのときに割高に見えても、1ヵ月後にみたら割安になっていたということもあるでしょう。ちなみに、2018年2月の東証一部上場企業の配当金利回りは1.47%と、大きく差が開いています。REITは金融商品としては比較的利回りが高い傾向にあるといえます。
なぜこの状況なのか?を考えることが大事
REITの購入判断をするポイントとして、「NAV倍率」「投資先の不動産の種類」「分配金利回り」を挙げました。NAV倍率は1倍が割高・割安の目安となり、分配利回りの平均は約4%です。単純にこれらの数値以上か以下ではなく、なぜこの数値なのか?を考えて判断することが重要でしょう。不動産市況や戦略を目論見書やREIT価格などを通じ知ることで、現物不動産に関する知見も得られるかもしれません。(提供:Nowstate)
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Source: 株式投資