ザ・ノース・フェイス好調、ゴールドウイン「26年ぶり最高益」へ 今後の原動力は?

ザ・ノース・フェイス好調、ゴールドウイン「26年ぶり最高益」へ 今後の原動力は?

26年ぶりの最高益を見込むゴールドウイン は、株価も1993年に記録した高値を更新し好調だ。6月のサッカー・ロシアW杯以降、世界的なスポーツイベントが続く中、スポーツブランドを多く抱える同社には、東京五輪までフォローの風が吹く可能性がありそうだ。

26年ぶりに最高益更新への原動力は?

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(画像=testing / shutterstock.com)

スポーツウェアの製造販売を手掛けるゴールドウインは、2月に予想決算の上方修正を行った。2018年3月期の営業利益62億円と、これまでの最高益1992年3月期の営業利益46億円を26年ぶりに更新する見込みである。

1992年はバブル崩壊後とはいえ、まだレジャースポーツ全盛期で特にスキーの全盛期だ。スポーツウェア中心に業績を伸ばした同社だが、その後長らく業績が低迷した。しかし現在は「ザ・ノース・フェイス」等のアウトドアブランドがアウトドアブームもあり絶好調で、最高益更新の原動力となっている。

株価は既に1993年の高値を更新

ゴールドウインの株価は1992年3月期に最高益を達成後、1993年10月に4175円という高値を更新した。しかしその後は下落が続き、1997年12月には170円にまで下落し、以後は株価の低迷が続いた。

ただし2014年頃より株価は徐々に上昇を開始し、2017年10月に遂に1992年3月の高値4175円を更新した。さらに2018年1月には一気に株価が上昇し、1月終値5620円と初の5000円台に突入した。

また1月の上昇だけに留まらず、通期決算の上方修正後の2月・3月も株価は上昇し、3月は6380円で取引を終えている。

ゴールドウインの2018年3月期業績は1992年3月期を上回る見込みだ。しかし株価は既に1993年10月の高値4175円を上回る水準に位置し、業績を先取りする形で上昇を果たしている。

4月に入り類似業種並みの予想PER水準に株価は上昇

ゴールドウインの類似会社として取り上げられる機会が多いのがデサント だ。デサントは直近3期の業績は横ばい状態で、株価は2015年6月の高値2000円の水準を超えられずにいる。

デサントの2018年3月期予想営業利益84億円に対し、ゴールドウインは62億円の一方で、時価総額はデサント1450億円に対し、ゴールドウイン1640億円と逆転している。

ゴールドウインが2月に発表した上方修正での予想EPS(1株当たり当期純利益)は414.7円だ。3月終値6380円では予想PERは15倍であった。しかし4月に入り株価は更に上昇し、4月24日時点で予想PER33倍まで買われていた

デサントの予想PERは25倍であり、またミズノの予想PER18倍、アシックスの予想PER32倍、ヨネックス予想PER24倍だ。ゴールドウインの予想PERは3月まで割安であったが、4月の株価上昇を受け類似業種並み、もしくは若干高い水準である。(4月24日終値で算出)

ただし上昇を続けるゴールドウイン株だが、その上昇は好調な業績を裏付けとしており、予想PERから見て大幅な割高感がある訳ではない。ゴールドウイン株の上昇は、割安に放置されていた銘柄が業績の上方修正を契機に注目を浴び、あるべき株価位置に回帰する、バリュー株の教科書的な値動きと言える。

スポーツイベントの継続を契機にさらなる業績拡大が期待される

ゴールドウインの展開する「ザ・ノース・フェイス」はかつて登山者やアウトドア愛好家の中で、スタイリッシュなブランドとして知る人ぞ知る存在であった。その後、アウトドアブームを背景に「ザ・ノース・フェイス」は広く知られるようになり、また日常生活でも利用できるバッグやアウター等の一般化戦略が成功し、過去最高益を見込めるまでに至っている。

そして今後本年6月にサッカーW杯ロシア大会、来年は国内でラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピックと世界的なスポーツイベントが2020年まで継続する。

アウトドアブランドの好調により業績を伸ばした同社であるが、継続するスポーツイベントを背景に、CANTERBURYやSpeedo他のスポーツブランドを伸ばし、更なる業績拡大そして株価上昇に繋げることができるのか。今後のゴールドウインの業績や株価に、注目が集まる機会が増えることになりそうだ。

株価プレス管理人証券系投資会社を経て独立、ブログ「株価プレス」( http://kabu-press.com/ )を運営中。企業のファンダメンタル分析に加え、チャートのテクニカル分析が得意。「株価プレス」ではチャート分析、話題の企業のファンダメンタル分析やニュース解説を行っている。ライターとしても活動しており、複数媒体に寄稿中。


Source: 株式投資
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