事業承継の柱「サクセッション・プラン」をたてよう

事業承継の柱「サクセッション・プラン」をたてよう

いまや、子どもや親族が必ず家業を継ぐという時代でもなく、後継者問題をかかえる中小企業は少なくない。中には、「少子高齢化で、そもそも跡を継ぐ親族がいない」という経営者もいるだろう。そういった人材難に直面する企業が事業承継をスムーズに実行するためのカギが「サクセッション・プラン」の策定だ。

サクセッション・プランとは?

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(写真=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

サクセッション・プラン(Succession Plan)は、日本語にすれば「後継者育成計画」のことだ。後継者を見極め、重要なポストを担うにふさわしい人材となるよう教育することを指していた。しかし、ビジネス環境が変化する中で、不測の事態が起きても事業を承継できるように、人材を育成し、ストックしておく施策全体を指すように意味合いが変化してきている。

サクセッション・プランと従来の人事施策の違い

「サクセッション・プランと人事部が手掛ける人材育成の施策は何が違うのか」と疑問を感じる方も多いだろう。サクセッション・プランは、経営者がよりコミットしなければならないのが特徴だ。通常の人事異動ならば、人事部が決定したルーティーンでもできる。一方、サクセッション・プランの場合、経営のかじとりをするマネジメント人材の育成が命題だ。

そのため、より経営者の思いや企業の方針などを反映した施策をとることになる。サクセッション・プランは、社長やCEO(Chief Executive Officer=最高経営責任者)だけでない。COO(Chief Operations Officer=最高執行責任者)やCFO(Chief Financial Officer =最高財務責任者)、CIO(Chief Information Officer =最高情報責任者)といった経営幹部も対象となる。具体的なポジションの空きが出てからあわてて人事を決定するのではない。長期的な計画に基づいて後継者たる人材を選び出し、教育していくことが大切だ。

サクセッション・プランの策定方法

サクセッション・プランをたてるには、まず自社の社是やビジョン、経営戦略を確認して明確にする必要がある。次に経営戦略を実行するにあたって重要となるポジションを検討し、その地位において求められる人材の必須要件を洗い出すのだ。スキルや知識のほか、経営幹部として上に立ち、人々を率いるのにふさわしい性格や態度といったパーソナリティーも検討すべきといえる。

要件が固まったら、合致する人材を既存社員の中から選出する。「関連するポジションについているか」「該当する部署内にいるか」など、現在の役職や業務に限定はせず、将来性を含めて広く検討すべきだろう。積極性を重視するのであれば、自薦による公募方式を取り入れるという方法もある。そして、想定しているポジションへつかせるための登用と育成計画を具体的に立案および、実行していくのだ。人材のスペックには差があるため、画一的な研修ではなく、各々に合わせた計画の策定が必要である。

事業存続の先を見据えた人材育成が必要

サクセッション・プランによって内部人材から後継者を育成することで、ポストに空白が出た場合のリスクや外部からの採用コストを削減し、事業の円滑化を維持できる。また、優秀な人材を多数ストックしておくことで、育成途中での退職による機会ロスも防げるだろう。さらに、事業拡大時のポストへの補充にすみやかに対応でき、ビジネスチャンスを逃してしまうリスクを抑えられる。目先のことばかりに捉われず、事業存続の先を見据えて人材育成をすることが、サクセッション・プラン策定のカギなのだ。

サクセッション・プランで優秀な人材のリテンションを

サクセッション・プランのメリットとして、優秀な人材のリテンション(引き留め)につながるという点にも着目したい。優秀な人材が正当な評価を受けることができないと、フラストレーションをため、さらなる経験を積もうと他社への転職を検討するかもしれない。人材難の時代において優秀な人材はどの企業も喉から手が出るほど欲しており、本人が転職を意識せずとも、ヘッドハンティングを受ける可能性があるだろう。

そうした事態になる前に、経営幹部の道筋を示しながら育成することで、キャリアに一定の方向性が見えるようになる。また、人事基準を明確化して全社員に「見える化」することで不公平感がなくなり、モチベーションの維持につながるはずだ。(提供:百計オンライン

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Source: 株式投資
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