日本発クレジットカードJCBはなぜ国際ブランドになれたのか?強みは「おもてなし」「安心感」

日本発クレジットカードJCBはなぜ国際ブランドになれたのか?強みは「おもてなし」「安心感」

世界中に決済ネットワークを持つJCBは、日本発で唯一の国際ブランドとして、他社とは一線を画する。ビザとマスターカードだけで世界シェア80%を占めるクレジットカード業界において、着実に事業網を広げるJCBの戦略とビジョンとは?

ボーダレスな便利さを求めて発展

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(画像=charnsit/shutterstock.com)

JCBは国内カード会員が海外でも便利に買い物ができるようにするため、日本で海外旅行が一般化し始めた1981年に、日本初の国際ブランドとして独自の世界展開を開始した。

日本人に人気の渡航先を中心に加盟店網を増やし続け、その後は事業の主軸に海外カード会員の拡大も加わった。特にアジア各国におけるハイエンドカードとしてのブランド戦略、海外カード会員の利便性を図るためのインバウンド事業など、国内外一体型の事業展開で着実に会員数を増やしている。

フレキシブルで質の高い事業を拡大

JCBは業界としては珍しく、決済ネットワークを提供する国際ブランド業務、カード発行会社としてのイシュアー業務、加盟店の管理等を行うアクワイアラー業務の三役を一手に担っており、自由度と質の高い世界展開を叶える基盤となっている。

例えば膨大な顧客情報や加盟店情報を自社管理し、そのビックデータを元に市場トレンドやニーズを分析してマーケティング戦略を立て、提携企業の要望に沿った柔軟な提案を行っている。

また、地域によってライセンスモデル、アライアンスモデルを使い分けるフレキシブルな拡大戦略も成功の秘訣だ。自国内決済が重要視されるアジア地域では、現地の決済ネットワーク企業と提携するアライアンスモデルを採用し、現地特有のニーズにも対応しつつ加盟店網の拡大も実現する。

売上高ベースで見たJCBの世界シェアは、2016年時点で1.15%である。ビザとマスターカードの世界シェア合計80%という数値に比べると見劣りする気がするが、両社の海外展開はブランドネームを貸し出すライセンスモデルであり、加盟店数が圧倒的に多いための数値である。一方でJCB世界シェアの裏には、フレキシブルな事業展開による質の高いサービスによって支えられた、23の国と地域にまたがる決済ネットワーク、3,312万件以上の加盟店、 1億1000万人の会員数がある。

また、アメリカン・エキスプレス、ユニオンペイ、ダイナースクラブなどと業務提携を結び、これら提携先カードの加盟店では、JCBカードも同様に使用できる。実質加盟店数以上の店舗で利用できることも強みである。

ブランド戦略として日本発の安心感を提供

国際ブランドネットワーク拡大の一環として、JCBは近年特にアジア各国からの会員増加にも力を入れており、2017年には海外カード会員数は2,408万人に達した。今後さらなる増加が予想される海外カード会員にJCBカードがもたらすのは、日本発ブランドならではの安心感だ。ソフト面とハード面の両サイドから、さまざまな国籍の会員が安心して使えるサービスを提供する。

例えばソフト面では、数か国語で使用できるスマホ版の日本各都市ガイドアプリや、国内20万か所以上で利用できる無料Wi-Fi、さまざまな施設での優待割引などを、「おもてなし」の一環として提供している。

ハード面においては、不正感知システムやワンタイムパスワードによる本人認証サービスなど、不正使用対策の最先端セキュリティをいち早く導入している。また、最先端技術である静脈認証による本人確認や、指紋認証機能付き非接触IC決済の実証なども、他社に先駆けてすでに開始している。

決済プラスアルファが求められる時代

世界中でカード決済が当たり前になっていく中、企業やカード会員はクレジットカードに決済機能以上の機能を求める時代が来ている。そんな流れの中でJCBは、さまざまなニーズに対応できる柔軟性を備えて時代のトレンドに叶った海外戦略を展開し、質の高い国際ブランドとしての道をまい進している。

豪州在住フリーライター サーロー清雅(さやか)
外資ITコンサルティング企業、米系運用会社にて日本、インド支社勤務後に退職。異文化で海外準富裕層の資産形成に対するスタンスや、お金との付き合い方を垣間見る。日本人の金融リタラシー向上へ貢献することをモットーに、国内外の資産運用・投資情報など、人生を豊かにするためのマネー情報を発信中。


Source: 株式投資
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