中国の上場企業、2017年広告費トップ10 首位は日本ランキングなら4位の規模

中国の上場企業、2017年広告費トップ10 首位は日本ランキングなら4位の規模

中国の国内市場上場企業の2017年財務年報がほぼ出そろった。中商産業院はこの中から広告費を抽出し、トップ500ランキングを発表した。経済サイト「中商情報網」が伝えた。広告費の動向は、企業活動の質量を図る重要なバロメーターである。このデータから中国経済の内部事情を探り、最後に日本と比較してみよう(1元=17.14日本円)。

広告費トップ10 首位は自動車

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(画像=StreetVJ / shutterstock.com 2018年4月撮影)

広告費が1億元を超えた企業は139社、5億元以上は32社、10億元以上は11社だった。トップ10を見ていこう(広告費/前年比/業種)

●10位 比亜迪(BYD) 11億7529万元/▲12.3%/自動車製造

1995年、深センで創業。広東、北京、上海、長沙など国内9カ所に生産基地があり、工場総面積は1000万平米を超える。米国、欧州、日本、韓国、インド、台湾、香港等に、現地法人または事務所を持つ。従業員14万人以上。しかし2018年第一四半期決算では、利益が前年比83%ダウンと苦戦。

●9位 中興通訊(ZTE)14億1178万元/△35.6%/通信機器

1985年、深センで創業。中国最大の通信設備会社。無線基地局や光回線など設備が主力だが、スマホなどの端末も生産。米国企業から半導体の供給を7年間ストップされ、米中貿易摩擦の焦点となる。2018年4月下旬、この制裁は不公平で、断じて受け入れられないと表明。

●8位 人福医薬 14億7934万元/▲36.1%/医薬品

1993年 武漢市で創業。前身は1988年設立の生物化学技術研究所。97年に提携相手とともに製薬工場を稼働して、医薬品に進出する。10年後には、主要業務は医薬品製造へと変化していた。さらに医薬品業界の主導的存在へ成長する。

●7位 瀘州老窖 18億7965万元/▲66.0%/酒、飲料、茶製造

“天府の国”と呼ばれた気候温和な四川省・瀘州を代表する酒造メーカー。1573年から歴史をたどることができる。中国“四大名酒”の一つ。2006年には国家級非物質文化遺産に登録される。2018年、香水への進出を発表。

●6位 広汽集団 19億4534万元/▲47.8%/自動車製造

1997年、広州で設立。2006年に広州汽車工業集団、万向集団、中国機械工業集団、広州鉄鋼などが参加して株式制に移行した、オール広東省の自動車メーカー。合弁には熱心で、日本関連では、広汽本田、広汽豊田、広汽三菱、広汽日野などがある。

●5位 上海医薬 19億5303万元/▲38.2%/小売業

2010年、合併により現在の形に再編された。中国の医薬品売上首位。1000店舗以上のチェーン店、400店以上の加盟店を持つ。ネット通販も展開。4000社以上の企業と秘密保持の関係にある。6000種以上の薬品を販売。

●4位 貴州茅台(マオタイ) 23億5882万元/▲87.7%/酒、飲料、茶製造

現在の会社は1953年に設立。茅台酒は中国の“国酒”であり、英国のスコッチウイスキー、フランスのブランディーとならぶ“世界三大名酒”と位置付けている。業績好調で2017年を通じて株価は2倍に値上がり。2016年8月、アリババと提携。2018年2月、江南大学と提携、酒造技術の発展を目指す。

●3位 蘇寧易購 45億7819万元/▲42.5%/小売業

2009年、南京市で成立。家電量販店首位、蘇寧のB2Cネット通販運営会社。ネット通販でアリババ、京東/JD)に次ぐ3位に躍進。2018年第一四半期は、売上46.3%増と好調。

●2位 伊利股份 82億0647万元/▲7.5%/食品製造

持株会社。グループの中核は内蒙古伊利実業集団有限公司。1993年内蒙古自治区・フフホト市で創業。乳製品、食品、飲料加工。世界8大乳業企業の1つ。2017年の自己資本利益率(ROE)は25.2%、長年にわたり20%以上を保持している。

●1位 上汽集団 135億7232万元/▲25.4%/自動車製造

1901年、GMオールズモビルが上海へ進出、以来1940年代まで“万国汽車(自動車)博覧”と呼ばれるほど上海は自動車産業が盛んだった。その伝統を引き継ぐオール上海の自動車メーカー。1983年、フォルクスワーゲン・サンタナの組立に成功。翌年に合弁会社、上海大衆汽車を設立。97年にはGM合弁の上海通用汽車設立。それらをテコに中国最大の自動車会社となる。

日中とも自動車がトップも勢いの差は歴然

10社の内訳は、食品・酒3社、自動車3社、医薬品2社、ネット通販1社、通信機器1社だった。

一方日本の広告費トップ10(2017年4月までの1年間)は、自動車3社、小売2社、家電2社、医薬品1社、ゴム製品1社、サービス1社だった。自動車が最も多いのは共通している。違いは食品・酒で、日本はキリンの17位が最高である。日本トップ5は、5位 セブン&アイ 1603億円、4位 イオン 1937億円、3位 日産自動車 3134億円、2位 ソニー 3638億円、1位 トヨタ 4487億円となっている。

中国首位の上汽集団は2327億円に相当し、イオンと日産自動車の間に位置していることになる。

最大の違いは、日本のトップ5はすべて広告費を減少させているのに対し、中国のトップ5はすべて増加していることだ。増加率トップの貴州茅台は87.7%も伸ばしている。見事な激増ぶりだ。残念ながらここでも彼我の勢いの差は明らかなようである。中国の広告費増加の勢いは、当面収まりそうにない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)


Source: 株式投資
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