マンション経営の目的別メリットとデメリットまとめ

マンション経営の目的別メリットとデメリットまとめ

「すごく儲かっている人がいると聞いたから」「何となくお金になりそうだから」などマンション経営に興味を持った方の理由はさまざまです。入り口としては、そのようなあいまいな理由でも問題ありません。しかし、本格的にマンション経営をはじめようと思うのであれば、「何のためにやるのか」を明確にしたほうがよいでしょう。なぜなら、マンション経営はポイントに応じて、さまざまなアプローチがあるからです。ここでは、「どのような目的にもとづいてマンション経営が行われているのか」について紹介します。

マンション経営とは

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(写真=PIXTA)

マンション経営とは、マンションを買うか新築し、住居として貸し出して家賃収入を得ることをいいます。本業として取り組む人もいますが、多くの人はサラリーマンなど別の仕事をしながら、副業または資産運用の一環として行っていることも多く、購入資金はローンを組むのが一般的です。

マイナス金利政策のもとでは、金融機関が不動産への融資を積極的に行うようになり、マンション経営に取り組む人は増えています。数千万円から億単位の借金を背負ってまで行う理由は、マンション経営で得られる主なメリットに下記の3つがあるからです。

・本業以外の長期的収入の確保・生命保険の代わりになる・相続税対策になる

マンション経営の目的と成功事例

マンション経営における3つのメリットと成功事例を詳しくみていきましょう。

・本業以外の長期的収入の確保家賃収入は毎月一定額が支払われます。入居者がいて家賃を延滞しないかぎり、家賃収入が減額されたり、ある日突然、収支がマイナスになったりすることはありません。株式取引やFXなどで安定した収益を得るためには、取引ごとに大きなリスクを抱えながら運用および資金管理をしていく必要があります。投資信託などで運用を担当するプロのファンドマネージャーでも、投資で全戦全勝ということは奇跡に近いことです。

不動産投資は収益が安定しにくい金融商品に比べると、精神面かつ、財務面でもメリットがあります。安定的な収益は、将来的な財産形成にとって非常に有利に働きます。また、生活していくのに十分な収入が継続的に得られれば、今の仕事をやめてマンション経営を本業とすることも可能です。

それでは、成功事例をみてみましょう。サラリーマンを早期引退しようと考えているAさん。しかし、今の手持ち資金では、安心して会社をやめるには少し足りないという状況です。そこで、株式や投資信託などを売って頭金をつくり、マンション経営をはじめました。

少しずつ物件を買い進め、マンション9棟、約10億円分のオーナーになったのです。家賃収入は年間8,000万円ほどあり、ローン返済などを差し引くと3,000万円ほどになります。半分は修繕費や次の物件を買うための資金として専用の口座に貯めて、残りは生活費に充当です。マンション投資をコツコツとはじめ、40代にしてセミリタイア生活に入ることに成功しました。

サラリーマン時代の上司と部下との板ばさみや取引先との人間関係に悩まされることもありません。さらに、時間に縛られることも少ないマンション経営による生活は、サラリーマン時代に比べて精神的・肉体的にも豊かになったと喜んでいます。

Aさんはマンション経営をはじめるにあたって、「どれくらいの収入があればサラリーマンをリタイアできるのか」について徹底して計算したのです。そこから逆算して投資規模や購入ペースの計画を立て、ゴールにたどり着きました。若いうちから目的を明確にし、マンション経営のメリットを活かして計画的に取り組んだために成功した事例といえます。

・生命保険の代わりマンション経営で利用するローンは多くの場合、住宅ローンと同様に団体信用生命保険を付けることができます。団体信用生命保険は、マンション所有者(ローン債務者)が亡くなったり高度障害を負ったりしたときに、残りのローンがすべて免除される保険です。

マンション投資において、もし自分が亡くなったとしてもローン返済が不要で、収益だけを生み出すマンションを家族に残せるのです。マンションからは家賃収入が生まれて、残された人たちの生活の糧となります。Bさんは専業主婦で、小中学生の子どもが3人います。夫のCさんは3年前に病気で亡くなりました。しかし、収入の心配はしていません。なぜなら、夫が残してくれたマンションがあるからです。

Bさんの夫であるCさんは亡くなる10年前から、万が一のことがあったときに、妻と子どものためになる生命保険を考えていました。しかし、高額な生命保険をかけて亡くなった友人の遺族が、数年でお金を使い果たしてしまったことを目の当たりにして、ためらうようになります。

ある日、ふとしたことから、マンション経営は自分自身の資産形成として役立つうえに、生命保険の代わりになるということを聞いて、勉強をはじめたのです。マンション経営に取り組みはじめて3年で約2億円のローンを組んでマンションを買い、年間約1,000万円の家賃収入が入るようになりました。

家族のために生命保険の加入を悩んでいたCさんの想定は現実のものになり、病気でこの世を去ってしまいます。しかし、妻子には年間1,000万円の収入を得られるマンションが相続されることになりました。若干の相続税がかかりましたが、団体信用生命保険のおかげでローンは一切残っていません。Bさんは今、家賃収入の半分を貯蓄し、半分を生活費にあてています。3人の子どもも大学にいかせられると、亡くなったCさんへの感謝の気持ちでいっぱいだそうです。

・相続税対策「マンション経営が相続税対策になる」という話を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。なぜなら、相続税を計算するうえで、不動産の価格は取得額よりも低く見積もられるからです。もともと相続税の仕組み上、土地や建物などの不動産の価格(評価額)は、同じ金額(購入額)の預貯金や株式などを持っているよりも、低い金額で計算されます。

しかし、マンション経営の場合は貸家建付地や小規模宅地の特例などを使うことにより、さらに有利になります。簡単に説明すると、相続税の計算上、評価額は基本的に時価で表されるのです。預貯金の場合は「額面+まだ払われていない利子」、株式の場合は「市場価格」となります。

土地や建物の場合も時価であることには変わりませんが、毎年発表される路線価や自治体が査定する固定資産税評価額をもとに計算します。これらは市場価格のおおむね70~80%です。例えば、1億円の土地を現金で買った次の日に相続が発生(買った人が亡くなる)したら、相続税の計算上、評価額は7,000万~8,000万円、差額は2,000万~3,000万円となります。仮に税率が10%だとすると、200万~300万円の節税になるわけです。

貸家建付地とは、土地を住居や駐車場など、自分で使っている場合よりも、マンションやアパートを建てて人に貸している場合のほうが相続税評価額を下げられる仕組みです。小規模宅地の特例とは、所有するマンション用地の評価額を最大200平方メートルまで、50%下げられる特例です。さらに、残ったローンを相続する場合、その全額を相続財産から差し引くことができます。成功例をみてみましょう。

Dさんは町工場の経営者です。高齢となって事業を引き継ぐ者がいないため、廃業することにしました。工場と土地は先祖代々受け継いでいる、Dさんの所有物件です。仕事をやめてしばらくしたころ、3人いる子どものうちのひとりに家を建てさせるため、工場を取り壊して更地にしました。しかし、予定していた子どもが海外転勤となり、家を建てる計画はなくなってしまいます。

土地の周辺は近年開発が進んでおり、地価は年々上がっています。このままだと、残った子どもには莫大な相続税がかかることになり、先祖代々の土地を手放すことになりかねません。そこで、老後資金の一部を頭金にしてマンションを建設し、賃貸することにしました。Dさんは工場経営者からマンション経営者になったのです。

税理士の計算によると、もし今の時点でDさんが亡くなった場合、土地と建物の評価額は貸家建付地として9,000万円となり、ローンの残高の1億2,000万円を差し引くとマイナス3,000万円となります。土地にかかる相続税をゼロにするだけではなく、相続税評価額全体を下げることになったのです。また、更地にマンションを建てることで、固定資産税の節税にもなります。もちろん家賃収入も入ってくるので、職人を引退したはずなのに、お金は増える一方だそうです。

マンション経営のメリット整理

マンション経営のメリットを整理してみましょう。まず、本業の給与収入以外に、安定した収入を得られることです。これを目的にするのであれば、どれくらいの収入を、「いつまでに得られるようになりたいのか」「自分にどれくらいの規模のマンション経営が行えるのか」など具体的に計画する必要があります。

うまくいけば、サラリーマンを引退して不動産業に専念することも可能です。続いて、団体信用生命保険を活用することで、生命保険として役に立つことです。継続的な収入を得ることができる資産を、ローンの負担なく家族へ残すことができます。一括で大金が振り込まれるわけではないので、遺族が運用方法や相続争いで困惑することも少ないでしょう。

生命保険としての役割は副次的なものに近く、これを目的にマンション経営を行う人は少ないかもしれません。しかし、相続税対策としてマンション経営に取り組む人は比較的多いでしょう。特に、土地や現金など、多くの資産を持っている人にとって有効です。マンション経営の目的は、継続的かつ安定した収入を得ることと、相続税対策の2つが主で、プラスアルファとして生命保険の代わりになるといえます。

マンション経営の目的と失敗事例

マンション経営に上記のようなメリットがありますが、ポイントがずれてしまうと手痛い失敗となることもあるので注意が必要です。

・売却益狙いこちらは事例からみてみましょう。都心でマンション価格が上がっていると聞きつけたEさん。ローンを組んで2,000万円の中古区分マンションを買ってみることにしました。最初から入居者がついているオーナチェンジ物件で、毎月の収支は少し黒字です。しかし、退居が出てからは、赤字が発生しています。それでも売却益を得るまでの辛抱と、黒字のときに貯めたお金でなんとかやりくりしている状態です。

購入してから数年後、新聞で周辺の地価が前年比5%近い上昇を見せていることを知ったEさんは、売却査定をしてみることにしました。もし、マンションの価格が5%上がっていれば、100万円の利益です。しかし、査定結果は期待外れの1,500万円でした。なぜなら、駅前に新築マンションが建ち並んだことで、駅から少し距離のあるこの中古マンションは引き合いが少なくなったからだそうです。

結局、マンションを売るに売れないDさんは、収支がトントンのマンションをがんばって経営し続けています。マンションの価格を形成する要因は多岐にわたり、プロでも完璧に先を予想することはできません。ましてや素人にとって、売却益を得ることは狙ってできることではないのです。

しかし、たとえ収支がトントンでも、しっかりと黒字を出していれば、売却額が仮に購入額と同じでも、ローンの残高が減っている分、利益となります。売却益に主眼をおかず、家賃収入をあげることに専念したほうが結果的にメリットとなるでしょう。

・年金対策Eさんは、知人に誘われて参加した新築区分マンション投資のセミナーで知り合った不動産業者からローンで物件を買いました。毎月少しずつ赤字が出るが、所得税の節税になるために実質負担はもっと低額になったのです。そして、ローンを完済したあとには完全に家賃収入が自分のものになるため、将来の年金代わりになるという触れ込みでした。

当初は毎月数千円の赤字でしたが、2年後、赤字は年間数万円に膨らみます。退居が続いて空室になった期間があることと、家賃が下がったことが原因です。たしかに、数十年後にはローンの負担がなくなります。しかし、すでに当初よりも大きくなっている赤字を考えると、「この先どうなるのか」「完済後もきちんと家賃収入が入るのか」など不安はつきません。試行錯誤した結果、Eさんは、損失覚悟で売却を考えているそうです。

ローン完済後に家賃収入の多くが自分のものになることは、現に利益が出ているマンションでも同じことです。赤字物件であることのデメリットを覆い隠すために、この不動産業者は年金対策とうたっているのかもしれません。わざわざ赤字が出ているマンションを買うメリットはありません。年金対策として出費が必要なのであれば、個人年金保険や確定拠出年金でも資産運用の代用は可能です。

マンション経営のデメリット整理

不動産業者でもないかぎり、売却益を狙った不動産取引は難しいものです。マンション経営は、株式やFXのように、数ヵ月で資産が何倍にもなるような投資とは違います。安定した収益を目的にするなら、あくまでも継続的な家賃収入を狙うことがおすすめです。また、年金対策として考えたとき、ローン完済後には黒字化するといっても、現に赤字が出ている物件に手を出すことは、やめておいたほうがいいでしょう。

マンション経営は、目的をよく理解してから取り組もう

マンション経営は、それぞれに目的があります。主なものには安定して継続した収入を得ることと、相続税対策の2つです。加えて副次的なメリットとして、生命保険の代わりになることも魅力といえます。売却益を得るためにマンション投資をしたり、年金対策のために赤字のマンション経営をはじめたりする人も中にはいるかもしれません。

これらの目的は、マンション経営をすることで結果的に達成できることはありますが、狙って行うにはリスクが高いです。マンション経営には技術的に勉強すべきことはたくさんあります。しかし、それ以前に「目的と取り組み方や物件が合っているかどうか」をよく考えることが必要です。マンション経営のメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分の目的を明確にして不動産投資を検討してみましょう。 (提供:Nowstate

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Source: 株式投資
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