投資信託を買いたい初心者が知るべき専門用語13選 信託報酬、ETF、目論見書ほか
投資信託を買いたい初心者が知るべき専門用語13選 信託報酬、ETF、目論見書ほか
投資信託への投資を始めようとする人がとまどうのが、投資信託商品の説明などで頻繁に使われる専門用語だ。インデックス運用とアクティブ運用、ETFやREIT、ポートフォリオやアセットアロケーション…。理解が必要な専門用語を順番に13個ほど分かりやすく説明する。
投資信託とは? 資産運用をプロに任せる金融商品のこと
投資信託とは、資金運用をファンドマネジャーなどのプロの専門家に委託する金融商品のことで、略して「投信」と呼んだり「ファンド」と呼んだりする。運用会社のファンドマネジャーなどが投資家などから集めた資金をまとめて日本国内外の株式や債券、不動産などに投資する。
運用で得られた収益は投資家に還元されるが、損失の責任も投資家側が負うことが特徴だ。投資信託は証券会社や銀行で販売されている。投資信託という仕組み自体はイギリスにルーツと持ち、1868年に誕生したと言われている。現代では一般的な資産運用の手段の一つになっている。
株式とは? 株式会社が発行する有価証券で株価変動や配当あり
株式とは、株式会社が発行する有価証券のことで、資金を出資している証明として発行される。投資信託で投資対象となる有価証券の一つだ。証券取引所に上場している企業の株式は証券取引所で自由に売買することができる。一方、上場していない企業の株式の売買は取引所ではできず、保有している株を売りたい人とその株を買いたい人の間でクローズドな環境で行われる。
企業に利益があった場合、株主は保有している株式数に応じて配当を受け取ることができる。保有割合によってその企業の経営に対する影響力が変わり、過半数以上を保有した場合はその会社の支配権を得ることになる。
債券とは? 株式会社が発券する有価証券で元本払い戻りや利息あり
債券とは、国や企業などが一般投資家などから資金を借用する資金調達をするために発行するもので、「国債」や「社債」などの種類がある。株式と同様、投資信託で投資対象となる有価証券の一つとなっている。
資金調達を目的としている点において株式と債券は似ているが、株式は株価が上がった場合のキャピタルゲイン(値上がり益)や収益に応じた配当を受け取ることができるのに対し、債券を保有している場合は利払い日に利息を受け取り続ける。また、株式は保有期間が定められていないのに対し、債券は期限を迎えると元本が購入者に払い戻される。
インデックス運用とアクティブ運用とは? 投資信託の運用方法
インデックス運用とアクティブ運用とは、投資信託の運用方法の違いによる種類の名称を指す。インデックス運用の場合は、日本の日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、アメリカで代表的なアメリカのNYダウやS&Pなどの株式指数(インデックス)と連動させた運用を行うのに対して、アクティブ運用はファンドマネジャーなどが将来有望と判断した任意の株式銘柄を選んで投資・運用するという特徴を持つ。
一般的にインデックス運用の方がアクティブ運用より値動きの幅が小さいこともあり、アクティブ運用の方がハイリスク・ハイリターン型であるとされる。インデックス運用はパッシブ運用とも呼ばれる。
ETFとは? 株価指数との連動した上場投資信託のこと
ETF(上場投資信託)とは、日経平均株価などの株価指数などと連動する投信信託のうち、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託のことを指す。例えば日本企業225社が対象の日経平均株価を基準するETFを購入した場合、225社に分散投資をしたことになる。英語では「Exchange Traded Fund」と書く。
金融商品取引所に上場しているので、取引時間中はいつでも売買することができ、取引価格も取引時間に常に変動する。インデックス型の投資信託と性質は似ているが、インデックス型の投資信託が証券取引所に上場していないのに対し、ETFは証券取引所に上場している。
REITとは? マンションやビルを対象にした不動産投資信託
REIT(リート)とは、マンションやオフィスビル、ショッピングセンターなどの商業施設などの不動産を対象として投資・運用を行う不動産投資信託のことで、英語では「Real Estate Investment Trust」と書く。投資法人がREITの運営を担い、商品によって証券取引所に上場しているものと上場していないものがある。上場しているREITは取引所の取引時間中にリアルタイムに売買することが可能となっている。
日本では法律でREITの運用収益の90%以上を投資家側に分配しなければならないことが定められている。REITの仕組みはアメリカで誕生したもので、日本では2001年から導入が始まった。日本版REITはアメリカ式REITと異なる点もあることから「J-REIT」と呼ばれる。
販売手数料とは? 投資信託の購入時に支払う手数料
販売手数料とは、投資信託を購入するときに支払う手数料のことを指し、購入手数料や申込手数料などとも呼ばれる。投資信託の販売会社によって購入手数料は異なり、同じ投資信託でも販売会社が異なると購入手数料が異なる。
購入手数料は一般的に購入金額の1~4%ほどとなっており、投資信託の中には販売手数料が無料の「ノーロード・ファンド」という商品も存在する。一方で、投資信託を購入する人が支払う手数料は販売手数料のほかに、保有中に支払う信託報酬や解約時に支払う信託財産留保額があり、ノーロード・ファンドだからと言って手数料が全体的に低く抑えられるとは限らない。
信託報酬とは? 投資信託の管理・運用にかかる手数料
信託報酬とは、投資信託商品を運用する投資信託会社などに支払う実質的な運用管理費用のこと。外国で設立された投資信託の場合は「管理報酬」と呼ばれる。投資信託商品によって信託報酬の割合は異なるが、一般的には年率で0.5~2.0%程度となる。投資信託商品を購入する投資家側にとっては、この信託報酬の安さも商品を選ぶ上での一つのポイントとなる。
任意の株価指数などに連動させて運用する「インデックス運用(パッシブ運用)」の方が、ファンドマネジャーが有望株を選んで運用する「アクティブ運用」よりも信託報酬が安くなる傾向がある。
信託財産留保額とは? 投資信託の解約時に支払う手数料
信託財産留保額とは、投資家が購入して保有していた投資信託を満期日(償還日)解約する際に支払う費用のことで、中途解約手数料的な性質を持つ。投資信託によって、保有期間に応じて信託財産留保額の割合が軽減されていくケースや、一定期間を超えて保有している場合は信託財産留保額の支払いが免除されるケースがある。
一般的には、投資信託を解約するときに信託財産留保額を支払う必要があるが、投資信託を購入するときに支払う必要があるものもある。信託財産留保額は売却代金の0.3~0.5%ほどが相場となっている。
目論見書とは? 投資家側に開示する情報とまとめた資料
目論見書(もくろみしょ)とは、投資信託などを販売する際に投資家側に提供する情報をまとめたもので、投資信託の目的や特色、運用方法、金利変動や為替変動などのリスク、過去の運用実績、販売手数料や信託報酬、信託財産留保額などを記載している。目論見書は金融商品取引法で作成・公布が義務付けられている。
目論見書は「交付目論見書」と「請求目論見書」に分類される。交付目論見書には対象となる投資信託の基本的な情報が掲載され、投資家側に必ず提示しなければいけない。一方で請求目論見書には対象となる投資信託の沿革など詳細情報が記載されており、投資家側からの請求に応じて提示される。
ポートフォリオとは? 投資する金融商品の組み合わせのこと
ポートフォリオとは、どの投資信託やどの株式・債券などに、それぞれどれほどの金額を投資するかを示した金融商品の組み合わせのことで、投資家によってポートフォリオは異なる。年代によっても資産運用の目的は変わるため、年齢を積み重ねながらリターンやリスクなどを加味してポートフォリオを変化させていく投資家も多い。
投資信託の運用を任されるファンドマネジャーがアクティブ型運用において選んだ金融商品の組み合わせや投資割合も、ポートフォリオと呼ばれる。そのため、ファンドマネジャーはポートフォリオマネジャーと呼ばれることもある。ファンドマネジャーとポートフォリオマネジャーを別な役職としているケースもある。
アセットアロケーションとは? 保有資産の分配割合のこと
アセットアリケーションとは、投資家が保有する資産(アセット)を、国内株式や外国株式、国内債券や外国債券、不動産などにそれぞれどれくらいの割合で投資するかを示した組み合わせのことを指す。ポートフォリオが具体的な金融商品の組み合わせのことを指すのに対し、アセットアロケーションは自分の資産をどのように分配するかを示している。
また、例えば国内株式と外国債券などと複数の種類の金融商品を組み合わせて投資・運用を行う投資信託の商品を「アセットアロケーション・ファンド」と呼ぶ。
エマージング市場とは? 発展途上の新興国マーケットのこと
エマージング市場とは新興国市場とも呼び、経済成長の途上にある国や地域の金融マーケットのことを指す。一般的には、東南アジアや中米・南米、東欧、中東などの国々や地域がエマージング市場に含まれる。
特にBRICs(ブリックス)とまとめて呼ばれるブラジルやロシア、インド、中国、VISTA(ビスタ)とまとめて呼ばれるベトナムやインドネシア、南アフリカ共和国、トルコ、アルゼンチンなどが有力新興国として注目を集めている。先進国市場に対する呼び方として、投資信託の業界で頻繁に使われる。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト)
Source: 株式投資