生命保険の相続対策のメリットとは

生命保険の相続対策のメリットとは

生命保険は万が一のことがあった場合の保障が主要な目的ですが、使い方によっては相続対策としても有効です。以下では保険契約の特徴と税務上の取扱いを確認しつつ、効果的な生命保険の活用方法をお伝えしたいと思います。

生命保険と相続の関係

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(写真=beeboys/Shutterstock.com)

・保険金は相続財産に含まれるか?
相続財産とは亡くなった被相続人から受け継いだ財産のことを指します。しかし、生命保険における死亡保険金は保険契約に基づいて受取人自身が受け取るものです。そのため、生命保険金は遺産分割協議の対象にならないのが原則です。

・相続税法では相続財産とみなされる
生命保険金は相続する財産ではありませんが、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります。相続税の対象となるのは、保険の契約者が被相続人(故人)、受取人が相続人(遺族)となるケースです。被相続人が過去に保険料を支払い、それに対応する保険金を相続人が受け取る実態を重視して相続税法上は相続財産とみなしているのです。

・生命保険金の非課税枠とは?
生命保険金は残された家族の生活を保障する側面も持っています。そのため、相続税法上は一定の配慮がなされています。具体的には、法定相続人1人につき500万円の非課税枠が認められています。例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人である場合、1,500万円(=500万円×3人)までの生命保険金は非課税となります。

保険の形態はさまざま

・節税に役立つ保険の種類は?
生命保険にはさまざまな種類のものがあります。相続税の節税対策として生命保険を活用するには、死亡時に保険金を受け取ることが重要です。そのため、保障が一生涯にわたって続く終身保険が適しています。これに対して、保険期間を経過すると過去の保険料が掛け捨てとなってしまう定期保険や、保険期間の終了時に満期保険金を受け取る養老保険では、上述した非課税枠を活用できない可能性があります。

また、生命保険金は相続税の対象になるとは限りません。契約形態によって課税関係は変わってきますので注意する必要があります。

・ケース1(保険金が所得税の対象となる場合)
例えば、妻が保険契約者かつ受取人として、夫を被保険者とする生命保険契約を締結したケースを考えてみましょう。この契約では、夫が亡くなると、妻が過去に支払った保険料に対応する保険金を妻自身が受け取ることになります。このようなケースでは、保険金は一時所得となり、所得税や住民税が課されることになります。

・ケース2(保険金が贈与税の対象となる場合)
次に、妻が保険契約者として、夫を被保険者、子供を受取人とする生命保険契約を締結したケースを考えてみましょう。この契約では、妻が過去に支払った保険料に対応する保険金を子供が受け取ることになります。このようなケースでは、保険金に対して贈与税が課されることになります。

・組み合わせを表にまとめると
契約者、被保険者、受取人が誰であるかによって保険金に課される税金が異なります。夫が被相続人、妻と子供が相続人となる場合に、生命保険の契約者、被保険者、受取人の組み合わせにより課税関係がどのように変化するかをまとめると下表のようになります。

No.保険契約者被保険者受取人課税関係
1妻または子供相続税
2所得税および住民税
3子供または第三者贈与税
4第三者妻または子供相続税

※No.1:死亡保険金が「みなし相続財産」として相続税の対象となるケースです。
※No.2:上記のケース1(保険金が所得税の対象となる場合)にあたります。
※No.3:上記のケース2(保険金が贈与税の対象となる場合)にあたります。
※No.4:保険契約者の夫が亡くなると、保険契約は途中解約となり、妻または子供が受け取る解約返戻金に相続税が課されます。

生命保険のメリット

・相続財産を減らしながら非課税枠も利用できる
生命保険では被相続人が保険料を負担することで相続財産の額を減らすことができます。それとともに、相続人が保険金を受け取る際には、みなし相続財産として一定の非課税枠が認められます。それらの相乗効果で相続税の負担軽減対策として役立ちます。

・納税資金の確保
生命保険金は相続税の納税資金を確保できるという意味でも役立ちます。例えば、相続人が1人で相続財産が収益用マンション1棟だけというケースを考えてみましょう。そのマンションに対して相続税が発生した場合、マンション以外に現金がなければ、マンションを売却するなどして納税資金を確保する必要が生じます。このようなケースでは、生命保険金を受け取れるようにしておけば、それを納税資金に回せるので、せっかくの相続財産を手放さなくて済むことになります。

・代償分割の原資として活用できる
生命保険金は代償分割の原資として活用することもできます。例えば、法定相続人が長男と次男の2人で相続財産が戸建住宅だけというケースを考えてみましょう。仮に、遺言で長男がこの戸建住宅を相続することになっている場合、次男は相続人が最低限確保できる「遺留分」を主張するかもしれません。そのようなトラブルを回避するためには、長男が次男に対して代償金を支払うことも有用です。このようなケースでは、長男が生命保険金を受け取れるようにしておくことで代償分割をうまく進めることが可能になります。

どのような生命保険が適しているかは、推定相続人や財産の状況によって異なります。相続対策として生命保険の活用をお考えの方は、専門部署のある金融機関や専門家のアドバイスも受けながら、具体的な活用方法を検討することが賢いと言えるでしょう。(提供:プレミアサロン


Source: 株式投資
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