堀江貴文の構想に中島聡も興味津々。配送ベンチャーは世界を変える
堀江貴文の構想に中島聡も興味津々。配送ベンチャーは世界を変える
メルマガ『堀江貴文のブログでは言えない話』も大好評な、出版やビジネスにと精力的に活動を続けるホリエモンこと堀江貴文さん。そんな堀江さんの人気YouTubeコンテンツ『居酒屋ホリエモンチャンネル』に、メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的プログラマーの中島聡さんがゲストとして登場しました。いま話題の仮想通貨から自動運転車まで、そう遠くはない未来についての話が次々と飛び出します。最終回となる第3回目は、堀江さんが構想する新たなベンチャービジネスについて。中島さんを唸らせた、堀江さんが構想する新たなビジネス・チャンスとは?
堀江貴文が構想する、日本初の配送ロボット・ベンチャー
堀江:僕は日本で最初に配送ベンチャーをやろうと思っているんですよ。これがすげえ良くて、考えれば考えるほどもうかる気しかしないんだけど。たとえば、うちのロケットの基地がある、北海道の大樹町ってあるでしょ?
寺田:はい。
堀江:あそこは、冬場はマイナス20度とかになるし、60歳以上が半分以上で、高齢化も進んでるところなんです。そういう場所で、冬にコンビニへ……町に2軒ぐらいしかないんだけど、そこまでお年寄りが買い物に行くのって、ものすごいリスクが高いんですよ。それこそ途中で転んで、腰打って動けなくなって凍死するような世界だから。
今は行政が「見守り隊」みたいな感じで、いろいろな家事の代行とかやっていると思うけど、もしその配送ロボットができたら、お年寄りたちの御用聞きみたいなものを、そのロボットがやってくれると思うんです。だから、その実証実験を今やろうと思ってて。
中島:でも、北海道バージョンを作らなきゃいけないですね。キャタピラー付きとか……。
堀江:はい、それはもちろん冬タイヤを履いて。こういう配送ロボットって、田舎だけじゃなくて東京のベッドタウン、例えば多摩地区も高齢化率が上がってんだけど、そういう所にも使えるんじゃないかな。
実際、届け先までラスト1マイルの輸送って、すごくバイト代が掛かるんですよ。やっぱり時給1,000円ぐらいは最低でも必要で、それで8時間働かすと8,000円は掛かるじゃないですか。だけど、ロボットだったら24時間働けて、1時間当たり500円課金したとして1日12時間走っても6,000円でしょ。バイトの時給より安いんですよ。だったら、導入しない理由はないじゃないですか。今掛かっているコストの7割程度だったら導入しないかもしれないけれど、それが3分の1とかまでになったら……。
中島:ま、7割程度でも、バイトを派遣してる派遣会社のピンハネ分ぐらいでできちゃうから。それに、お客さんにとってはやたら安い。
堀江:そう。さらにもっと言うと、1日例えば5,000円もらえたとするじゃないですか。これレンタルリースでやる予定なんですけど、5,000円で30日稼働したら15万円じゃないですか。多分このハードって多分、初期ロットでも100万円しないと思うんですよ。
中島:そうですよね。
堀江:だって、クーラーボックスにタイヤを付けて、可視光カメラ・赤外線カメラ・超音波スキャナーを載せるだけだから。段差とかを乗り越えるメカは必要かもしれないけど。
中島:それでも安いですよね。
堀江:ねえ、絶対安いでしょ。こんなのめちゃくちゃ安いと思うんですよ。それこそ量産化したら、多分10万、20万でできますよ。スマホより安くなるかもしれない。
そういうデバイスなんで、これはめちゃくちゃ儲かるなと思って。で、これをベースにして、ゆくゆくはパーソナルモビリティの技術をやると。つまり、ほとんどの世帯に配送しなきゃいけない、全部の世帯に配送するという前提であれば、その配送サービスのエリア内は、パーソナルモビリティビジネスのサービスエリア内になるんですよね。つまり、その町における最適なルート検索もできる。そうすると、そのパーソナルモビリティビジネスと、地域の幹線道路を走っているバスサービスみたいなのと組み合わせれば、それだけで完結する町が作れるんですよね。
中島:それって、ビジネス的に、全国規模でやらなくても立ち上がっちゃいますよね。
堀江:そうなんですよ。
中島:無理やりやらなくても、まずはこの町だけで成り立たせて……。
堀江:例えば大樹町だったら、近くで一番大きな街である帯広に、その町の人たちが止められるパーソナルモビリティのステーションがあって……みたいな感じにすればいいわけじゃないですか。
中島:それがあると、今まで無理だった何か新しいビジネスが生まれるかもしれないね。たとえば、漁港に朝一番で水揚げされた魚を、そのロボットが拾って自宅まで運んでくれるようなサービスもできちゃうじゃないですか。今までは流通の都合で無理だったけど。
自動運転の未来は「20世紀の車」を超えたところにある
堀江:今の自動運転車の問題点は何かというと、みんな今の車のメタファーで考えてるんです。今の自動車を前提で考えているから、やれバッテリーが足りないだの何だのみたいなことを言うんですよ。……って、仮想通貨の話とは全然かけ離れちゃった。
寺田:でも、めちゃくちゃ面白い話をしてると思いますよ。
堀江:そう。パーソナルモビリティの話はすごい面白いんですよ。
中島:確かに。ものすごい興味深いですね。
堀江:テスラもトヨタも僕の中では、何か違う気がするんですよ。あの車は20世紀の車でしょ。20世紀の車のバージョンアップとしてはいいんだけど、何かね「iPhoneじゃない」気がするんですよ。
中島:ガラッと変えるんであれば、僕はゴルフカートぐらいかなと思っていたけど、もっと小っちゃくてもいいですよね。
堀江:そうなんですよね。
中島:そのパーソナルな空間が付いてきてくれるみたいな感じは、すごくいいですよね。でも、何となく運動不足になりそうなのが心配だけど。
寺田:確かにヤイヤイ言う医療系の人は、めちゃくちゃ出てきそうだなとは思いました。
中島:でも、それは自転車で漕がないと動かないようにする、とかっていうのも、多分できるから(笑)。
堀江:(笑)。いや、すでにアメリカ人は、ほとんどそうじゃないですか。太り方とか半端ないからね。アメリカとかに行ったら「あ、オレって普通の体型だわ」って思うもん。
寺田:そうですよね。向こうの方に会うと、堀江さんの3倍ぐらいの人が……。
中島:でも普通に生活してて、わざわざ運動しようと思わない限りは、ホントに歩かないですよ。iPhoneの万歩計を見てても、日本だとやっぱり普通に仕事してても1日1万歩ぐらいは歩くんですよ、何だかんだ言って。でもアメリカだと、2,000歩ぐらいですよ。
寺田:そうなんですか。
中島:だって歩くのって、家から車までとオフィスの中ぐらいだから。それだと、下手すると300歩ぐらいしか動かない。
堀江:だからそれは問題にならないですけど、さらに運動不足にはなりますよ。だってパーソナルモビリティなら、自分のデスクまでそのまま行けますから。
寺田:……足の筋肉、超弱りそうですよね。
堀江:何ならアーロンチェアみたいになっていたりとか……。
中島:でもマッサージ付きのオプションは売れるかも。
堀江:売れそうでしょ。
中島:「なんか、みんな電車に乗ってんのに、こいつだけマッサージ受けてる」みたいな。
寺田:それって「ちょっと座らせてよ~」みたいなことになりそうですね。友だち同士で。
堀江:そうそう。だから、それはスマホのカバーみたいな感じで、みんなどんどんカスタマイズしていくし
中島:それは、ビジネスとして大きいかも。
堀江:いや、めちゃくちゃ大きいっすよ。
寺田:でも、私も1時間に3本しかバスが来ないような所で育ってるから、そういうパーソナルモビリティで、それまでの問題が解消されて、みんな外にバンバン出れるようになるだけで、すごくありがたいと思いますよ。
堀江:で、僕が何でこのデザインにしたかっていうと、バスは大規模だからでっかいバッテリーを積めるし、同じ路線を走ってるから、途中で結構チャージができるんですよね。だから、これは今の交通インフラを最大限利用してできるはずなんですよ。
中島:入れ子構造だね。それはいい考え。
堀江:そうそう、入れ子構造にできるはずで、多分最低限の改造で済むはずなんですよね。で、もしiPhoneみたいなすごいものを作ったら……iPhoneが出てきた時に、あの車メーカーがiPhoneのアダプターを付け始めたでしょ、ある時期から突然
中島:うん 。
堀江:ああいう現象が起きると思う。新幹線が対応しましたとか、エアラインが対応しましたとか……。
中島:ああ、飛行機もね。
寺田:それですぐ飛べるようになったりとかしそうですね。
堀江:だってそれ、フル自動だから。何もする必要がないから。で、その間は自分の時間になるんですよ。
中島:逆に、貧乏な人が今までの椅子付きの車両に乗ってて……みたいな。
堀江:そうそう。でも、ちょっとうらやましくて、「20万かぁ、どうしよう」みたいな。「でも、月々5,000円のローンで買えますよ」みたいな。買うでしょ? 余裕で買うよね。
寺田:うん。
堀江:逆に、貧乏な人から買っていくと思うよ。見栄を張りたくて。そうすると、加速度的に公共交通が変わるというか、公共交通のほうから勝手に変わっていく。……そういう未来をちょっと夢想してたんですけど、僕はそれを絶対に作りたい。少なくとも、一翼は担いたいと思ってます。
中島:それは僕もやりたいですよ、すごく。
堀江:とりあえず、一番簡単な配送車からやりますけど、これは年内にローンチしようと思うんですけどね。
配送ベンチャーは小さな町にこそ需要がある
中島:Amazonとかは、そういうのを常に探してるんですよ。いかに安く届ける方法があるか。
堀江:さっきのエストニアのベンチャーも「Amazonから買収のオファーを受けたよ」って言ってましたね。これがちゃんとできたら、佐川やヤマトも買うと思いますよ
中島:大体ね、あそこは労働環境がひどいじゃないですか、今。それも解決できるし。
堀江:そうそう、そうそうそう。
寺田 申し訳なくなりますもん、最近。届けてもらったら。
堀江:実は逆にいうと、都市部のほうが遅いかもしんない。いろいろな障害がありすぎて。
中島:そうね、地下鉄の駅まで下りないといけないとか。
堀江:そうなんです。あと、エレベーターとか。だからむしろ、田舎のほうが良くなるんじゃないかという。……そうそう、エストニアのベンチャーはスターシップっていう会社です。
中島:ここと組んでやるんですか。
堀江:いや、ここと組まないでやろうかなと思ってて。別に大したテクノロジーじゃないんで、これ。最初に見た瞬間「あ、これ簡単だわ」と思って。「オレでも作れるわ」って思ったもん。なのに彼らに聞いたら、「実用化してるの、オレたちだけなんですよ」って。実は調べても彼らだけだったっていう。これって結構盲点だなと思って。エストニアってすごいですよ。
寺田:みんなは何でやらないんですかね。
堀江:やっぱり人間って結構愚かなんですよ。
中島:駄目な理由をまず見つけちゃうとかね。さっきの話じゃないけど、東京だったら地下鉄の下まで行けないし……みたいな。そこでもう諦めちゃうじゃない。でも、実は田舎だったらできるというようには思わない。
堀江:むしろ田舎のほうが、若者がいなくて、配送の人材困ってるんだから、いいよねって。
中島:そうですね。高齢の人が運転するのは危ないじゃないですか、やっぱり 。
寺田:最近は高齢者の免許返還も話題になってますもんね。
堀江:でもさ。マイナス20度の町で免許を返還したら、生きていけないからね。……昔のシリコンバレーみたいな感じですよね。車の免許を取るか、家でじっとしてるか、みたいな。ねえ、そんな感じでしたよね。
中島:うん。
堀江:UBER登場以前のシリコンバレーってそんな感じで、車の免許を持ってない人は、家から出るという選択肢がないわけよ。
寺田:じゃ、みんなどうしてたんですか。
堀江:車の運転できない人は、家にいるんだよ。
寺田:家にいるんだ。
堀江:まぁ、ほとんどは免許取るけど、持ってない人は知り合いの車に乗せてもらったり、いろいろ大変だったんだよ。だから、UBERってすごいんだよ。
中島:あと小っちゃい町のほうが、周りが協力してくれそうじゃないですか。町が抱えてる問題を解決するというと、行政が協力してくれますよね。
堀江:そうなんですよ。
中島:ただ、北海道でやるのがいいかは分かんないですけどね。いろいろ障害があるじゃないですか、雪とか。
堀江:まぁ多分、車輪周りはそんな問題じゃないと思いますよ。時速6キロだったら、別にキャタピラーでもいいわけじゃないですか。
中島:でもやたら雪が積もってたりしないですか。
堀江:除雪だけはちゃんとやってるんですよ、北海道って。行政がちゃんとしてます。歩道もちゃんと除雪されてます。あと、大樹町があるのは道東地方なんで、そんなに雪が降らないんですよ。日本海側だと雪が降るんだけど。
寺田:あまり降らないんですね、大樹町は。
堀江:そう、道東はね。……まあ、これもよくいわれるんだけど、道央とか札幌とかの近くの人はスキーがうまいけど、帯広とかの近くの人はスケートがうまいというんです。道東は寒いけど雪が降らないから、スケートをやるんです。山もあんまりないし。だけど、札幌の近くとかは結構山もあって、雪がバンバン積もるからスキーがうまくなる、みたいな。……全然ブロックチェーンの話じゃないですね。
中島:緩いんですね、この番組。
堀江:そう、緩いんです。でも今日は、中島さんのメールマガジンを見て、その辺の話がちょうどしたかったんで、これで良かったんですけどね。
撮影:上岡伸輔
……と話の尽きないお二人ですが、対談は今回で最終回です。堀江さんがブログでは書けないとっておきの情報を毎週月曜日にお届けしているメルマガ『堀江貴文のブログでは言えない話』のご登録はコチラから。また、IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られる中島さんのメルマガ『週刊 Life is beautiful』のご登録はコチラ。どちらのメルマガも初月無料ですので、この機会にぜひご登録してみてはいかがでしょうか。まだまだ続くお二人の熱いトーク、4月中にお二人のメルマガにご登録いただくと今回のトークのフルバージョンを全文お読みいただけます。ぜひご登録をご検討ください。
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